元西武ライオンズの石毛宏典氏と元スカウトの日野茂氏が、夏の甲子園で気になった投手
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高校野球
夏の高校野球甲子園大会は、作新学院の優勝で幕を閉じた。優勝した今井達也投手や準優勝の北海・大西健斗投手など、好投手に恵まれた大会となったが、この大会で気になった投手を元西武ライオンズの石毛宏典氏と、元西武スカウトの日野茂氏に聞いた。
気になったのは一人?
石毛氏は真っ先に「作新学院の今井は良かったねぇ」と名前を挙げた。また日野氏は「今大会で気になったのは、一人だったなぁ」と話し、今井投手の名前を挙げた。
石毛氏は「線が細いが『ナベ』みたいに腕がしっかり振れる。」と元西武のエース・渡辺久信の名前を挙げた。そして、「クイックもできる」と、152キロを記録した球速だけでなく、投手の総合的な力が高いと評価した。今大会はBIG3と呼ばれた、履正社・寺島成輝投手、横浜・藤平尚真投手、花咲徳栄・高橋昂也投手もいるが、「間違いなくNO.1」と話した。
大会前までは最速149キロを投げるとはいえ、栃木大会でも驚くようなピッチングをしておらず、また春季大会では登板をしていなかった今井投手が、今年の夏のNO.1投手に輝いた。
相対的にBIG3の3人について、日野氏は先ほどのようにそれほど注目することは無かったという。石毛氏も寺島投手と藤平投手については、「二人とも下半身が太く、もっさりした印象」と話す。しかし二人の映像を見直すと、時折「おっ」と唸る球を投げており、「まあ、逸材なのは間違いないね」と話した。もう一人の高橋昂也投手については日野氏は「体が使えていない。手が前に出るようになれば」と話すと、石毛氏も「体を倒してもいいんじゃないかな」と立ち投げにも見えるフォームについて話した。
その他に気になった投手
石毛氏がもう一人名前を挙げたのが、松山星稜のアドゥワ誠投手だった。こちらも「腕の振りが良く『ナベQ』に似ている」と話す。日野氏は「上から投げよう投げようとしている。腕を下げてビュッと体を使えるようになれば」と話した。しかし「こういう投手は0か100」と話した。196cmと長身だが体の線も細く、フォームも変えていかなければならない。「良くなればダルビッシュになれるが、その過程でフォームを崩してしまうかもしれない」と話した。
またもう一人、広島新庄の堀瑞輝投手についても日野氏は「面白い投手だね」と話す。「もう少し前まで持っていければコントロールももっと良くなる。そのために体の回転を良くして前まで持っていくようにするか」と分析した。
154キロを出した創志学園の高田萌生投手についても聞いてみると、日野氏は「春の方がもっといい球を投げていたんじゃない?」と話すと、石毛氏は「松阪に似ているが、膝が折れすぎる所など悪いところも似てしまっている」という。良い球もあるだけに可能性は十分あるが、課題を指摘した。
最後に北海高校のエース・大西健斗投手について聞くと、日野氏は「まだアマチュアクラスだね。大学でもう2段レベルアップしてほしい」と話した。将来のプロ入りについて聞くと、「体も大きいし十分可能性がある」と話した。石毛氏も投球内容について触れ「非常に落ち着いて、考えて投げていた」と評価した。
この他にも石毛氏は、作新学院で春までエースだった入江投手について、「少ししか投げなかったけど、なかなか良い球を投げていた」と話し、鳴門の河野投手も「好投手だった」と話した。今井投手が頭一つ抜けた形となったが、これからその今井投手を目標に大学や社会人で成長する選手もいるだろう。やはり楽しみな投手が多い大会だった。
(Professional baseball view 編集部)
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