*

エースの系譜はあるのか?

公開日: : プロ野球

プロ野球にもアマチュアの野球チームにも、エースという投手の存在がいるとチームが高いレベルで安定すると言われる。12球団の1980年代からのエースと呼ばれる投手を見てみた。

エースの系譜はあるのか?

1980年代から2010年代までの12球団のエースと呼ばれる存在を挙げてみた。

巨人は堀内、江川、斎藤、桑田、そして上原と球界を代表するエース投手が続いていた。現在は右のエース・菅野智之が存在感を見せ、左のエース・内海哲也も故障などがありながらも登板するとエースと呼ばれるピッチングを見せる。

巨人に執念を燃やしたのが阪神のエース、江川とのトレードとなった小林を始め、中西などがおり、低迷した時期にもマイク仲田、藪、井川といった存在がいた。現在はメッセンジャー、能見、そして藤浪晋太郎がいるが、藤浪に対してファンはもっと高い期待をしている。

中日にも星野から始まり、コマツ、山本昌、今中、川上とエースの系譜が続いていた。現在も吉見、大野という投手がいるのだが、故障などもあり期待に応えられていない。広島にも北別府、川口、大野、佐々岡、黒田、前田とエースの系譜が続いている。前田がメジャー移籍したもののそのメジャーから黒田が帰り、優勝をひた走っている。

横浜は1998年の優勝以降、三浦大輔が一人で支えている状況だった。今年は石田健大や今永、井納、そして山口俊が先発でようやくエースの風格を見せるようになった。ヤクルトは1990年代の川崎、石井、伊藤などのいた時代から、石川、館山の時代に引き継がれ、小川泰弘へと引き継がれようとしている。まだ小川が実力を出し切れておらず、昨年は優勝したものの今年は低迷し、真のエースになり切れていない。

パリーグではオリックスは阪急時代の山田、佐藤、今井、星野がいた時代が黄金期で、その後は長谷川などが支えたが小松などエースに手をかけながら故障などでなりきれなかった。今は金子がエースとして認められる存在になっている。ソフトバンクはダイエー時代の低迷期から、和田、杉内、斎藤といったエースが出てきて黄金時代に向かった。現在も武田と復帰した和田がエースとなっているが、黄金期に比べるとやや不安定になりつつある。

千葉ロッテは村田が支えて時期をへて、小宮山、伊良部、黒木などが出てきて強豪チームとなった。しかし清水、成瀬、渡辺といったエースがチームを離れてしまう。それでも石川がエースとして台頭し系譜を引き継いだ形となった。西武は1980年~90年の黄金期は工藤、渡辺久、渡辺智、石井丈、郭といったエースがローテーションを張った。その後も西口、石井貴、松坂大輔、涌井とエースが続いたが、松坂のメジャー移籍と涌井の放出により、そして後継と目された菊地がエースになり切れず岸が一人で支える状態となり現在の低迷となっている。

楽天の中に近鉄を入れてしまっているのは良くないが、鈴木啓、阿波野、野茂といったエースの系譜は岩隈が楽天へと引き継いだ。岩隈と田中将大のエースにより日本一になり、その後、則本へと引き継がれている。日本ハムはやや低迷した時期に西崎、武田、金村が支え、ダルビッシュ有へとつないだ。そしてダルビッシュの系譜は大谷翔平へと引き継がれている。

 

エースの系譜とは?

エースとは。

西武ライオンズの黄金期で工藤、渡辺久、渡辺智、郭、石井丈などを見ていた石毛宏典氏は、この中でエースだったのは渡辺久信だっだという。成績的には工藤や郭の方が良かったかもしれないが、たとえ10敗したとしても最後まで投げ切る力と責任感があったという。もちろん工藤も郭も責任感も気迫もあったのだが、渡辺久信が一番だったという。

その意味では田中将大や前田健太が他球団から見てもエースと認められたのは、成績ももちろんだが、その責任感においてエースと認められる存在だった。

次にエースの系譜とは。

例えば、このチームは伝統的に左のエースがいる、といったエースの系譜のようなものがあるように思える。それについて、西武ライオンズでコーチや編成をしていた日野茂氏に聞くと、「フロントのチーム作り」の影響によるものだろうという事だった。チーム作りは監督など現場の意見ももちろん入れるものの、フロントがどういうチームにしていくかを決め、それに基づいて選手を補強していく。フロントには基本的にそのチームのOBが多く、かつてのエースの存在感をイメージする事になり、似たようなタイプの投手を補強する事になるのではないかと思われる。

それはコーチ陣にも当てはまり、かつての自然とかつてのエースに近づけるような指導になってくる。ただしコーチは各球団を移動していくことが多く、必ずしもそのチーム出身ではない事から、やはりフロントという事になりそうだ。

今年の夏の甲子園は寺嶋成貴投手、藤平尚真投手といった注目投手がおり、大学野球にも田中正義投手というエースがいる。これらの投手をどこの球団が指名するのか、エースの系譜から予想してみるのも面白いかもしれない。

(Professional baseball view 編集部)

関連記事

2016年ドラフト指名選手を評価する

 元西武ライオンズの石毛宏典氏と、元西武スカウトの日野茂氏に、今年のドラフト会議で指名された選手につ

記事を読む

野球選手のヒーローインタビュー

 日野茂氏が湘南シーレックス(現横浜DeNAのファームチーム)の2軍監督をしていた時、野球の技術だけ

記事を読む

ソフトバンク・島袋洋奨投手、もっと自信をもっていい

ソフトバンクのドラフト5位ルーキー・島袋洋奨投手が9月25日の千葉ロッテ戦で8回に登板し、1回をノー

記事を読む

プロ野球の名将のよもやま話、石毛宏典氏、日野茂氏が語る

プロ野球には名将と呼ばれる監督がいる。石毛宏典氏はプロ野球時代に根本陸夫監督、広岡達郎監督、森祇晶監

記事を読む

ドラフト会議の指名と来年正念場となる選手

 ドラフト会議はチーム作りの一つで、チーム方針を元に指名が行われている。そのためドラフト会議の結果を

記事を読む

石毛宏典氏、日野茂氏が見る今年のドラフト候補

ドラフト会議が今月22日に迫ってきた。今年のドラフト候補について、元オリックス監督の石毛宏典氏、元西

記事を読む

読売ジャイアンツの2015年のチーム構成

 昨年、セリーグを制覇したものの、CSで敗れて日本シリーズに進出することができなかった、読売ジャイア

記事を読む

12球団の開幕前の想定と開幕してから ~セリーグ編~

 プロ野球も開幕して2週間が過ぎ、対戦カードも一巡した。各球団とも開幕前に想定した力が出せているチー

記事を読む

小さな選手も大きな活躍ができる

高校野球では早稲田実の清宮幸太郎選手と、履正社の安田尚憲選手が活躍を見せ、早くも来年のドラフトの目玉

記事を読む

9人指名して6人が1軍昇格、東北楽天の2013年ドラフト

 東北楽天のドラフト4位ルーキー、古川侑利投手が1軍に昇格した。これで昨年、東北楽天が指名した9選手

記事を読む



  • 解説者:日野茂氏(元横浜ベイスターズヘッドコーチ)


    解説者:石毛宏典氏(元西武ライオンズチームリーダー、オリックスブルーウェーブ監督、四国アイランドリーグ創立者)

    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」
    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」


    取材協力:元プロ野球選手が教える野球塾
    「ZEROベースボールアカデミー」
浅村選手、炭谷捕手などFA移籍でどうなるライオンズ、石毛宏典氏が語る

今年、パリーグを10年ぶりに制覇した埼玉西武、浅村選手、山川選手、秋山

日野氏は金足農・吉田投手、石毛氏は浦和学院・渡邉投手を評価

プロ野球ドラフト会議が近づいてきた。今年も多くの選手が注目される中で、

石毛宏典が西武の戦いに「普段通りやるしかない」

10年ぶりにパリーグ優勝を飾った西武ライオンズ、かつての黄金時代のキャ

石毛宏典氏と日野茂氏が根尾選手と小園選手を評価

夏の甲子園が終わり、U18アジア大会を戦う選手たち。その中で、西武ライ

盗塁:バッテリーとランナーの3.3秒の攻防

盗塁は、日本の野球に置いて、チャンスを広げ、得点を挙げるために重視され

→もっと見る

PAGE TOP ↑