高校野球は練習方法を変えれば、まだまだ上手くなる(2)
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高校野球
ある高校の練習の指導に訪れた日野茂氏は、その練習方法とある出来事を経験して「高校野球は練習方法を工夫すれば、まだまだうまくなる」と実感したという。
打撃練習を守備練習に活かす
そのチームは人数も多く、打撃練習もバッティングゲージを3台以上設置し、3時間以上打撃練習を続けていた。他の選手は素振りなどの練習に取り組んでいるのだが、グラウンドでは外野で球拾いをしている選手がいるだけだった。日野氏は「せっかくの機会を活かせていない」と監督に話しをした。
「守備というのは生きた球を捕らないとうまくならない。ノックのように打球が来るのがわかっている練習よりも、打撃練習の打球を守るほうが良い」と話す。そして練習を以下のように変えてみてはどうかと監督に提案した。
1.打撃ゲージを2つ程度に減らし、チームを二つに分けてAチームは30分間打撃のみ、Bチームはその30分間を守備に付く
2.バッティングピッチャーは投手ではなく、野手が投げる
3.走塁練習も兼ね、ランナーも置く。そしてベースコーチを置かずに、打球を自分で判断して走塁をする
4.内野ゴロはすべて併殺を獲るようにする
数日後、再び指導に訪れると、チームではさらに工夫し、併殺の時にバットに当たってからファーストに送球が来るまでの時間をストップウォッチで測り、4秒以内にすることを目標にしていた。4秒以内に収まると選手からは歓声が起こっていたという。
そして公式戦を迎え、その試合に勝利した。勝利後に監督は日野氏に「試合で始めて併殺がとれました!」と、成果を実感していたという。
練習の方法
高校野球は、チームによっては50人や100人などがおり、Aチーム、Bチームに分けてもなお、多くの選手がいる。それらの選手に練習をさせるために、守備の時間、打撃の時間を区切り、守備ではノック中心に、打撃では多くの選手を打たせるため、ゲージをたくさん用意して効率化を図る。
しかし横浜ベイスターズなどで2軍監督などを務めた日野氏は、生きた打球をベースに守備や走塁に生かすことを優先していた。まだスタートしたばかりだが、試合中の守備のプレーの向上や、ランナーの打球の判断などでこれらの成果がさらに出てくると期待している。
もちろん、既にそのような練習を実施しているチームもあるだろうし、練習の環境や野球部の人数が多かったり少なかったりして同じようにはできないチームもあるだろう。
しかし、これまで長い歴史の中で培われてきた高校野球の練習も、まだまだ先に進むことができる余地はたくさんありそうだ。
つづく
(Professional baseball view 編集部 柄井)
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