バッティングの課題を気付かせる方法
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少年野球指導
今年のオープン戦は、東北楽天のドラフト1位ルーキー・オコエ瑠偉選手が、スポーツ紙やテレビ番組でかなり取り上げられた。打撃に課題があるが少しずつ改善され、オープン戦などで結果を残しているという形で報道されているが、石毛宏典氏は、まだまだだと話した。
本人が気が付く事が大切
オコエ選手のバッティングの課題は、うちに行くときにヒジがやや前に出て「ゆるんでしまう」事だ。石毛氏は打撃について、まずは肩、ひじ、手首で五角形で構え、うちに行くときはヒジは曲げずに三角形の状態になっていなければならないが、オコエ選手の打撃を見ると、三角形にはなっていない。
東北楽天の池山打撃コーチは、肘の部分をゴムチューブで縛り、その形を作り上げようとしている模様も報道されており、課題は明らかだ。しかし、オープン戦での打撃ではまだ、ゆるむ状態が見られる。
石毛氏は「自分で気が付かせないといけない」と話した。
石毛氏はかつて、福岡ダイエーの2軍監督の時に柴原洋選手の打撃の指導をした。柴原選手は鳴り物入りでプロ入りしたものの、1年目は66試合に出場して打率は.158と低迷していた。2軍監督に就任した石毛氏は柴原選手の打撃をみると、上体を前に突っ込むような形で構えていた。そこで石毛氏は、「その状態でしゃがんでみろ」と話すと、窮屈でなかなかしゃがめない。そこで、では真っすぐに構えてしゃがませると、楽にしゃがむことができた。
窮屈な構えになっていたことに気が付いた柴原選手は、その年は1軍で111試合に出場し打率.314を記録、その後もリーグを代表するトップバッターとして活躍をつづけた。
選手自身に気付かせることができたという。
言葉の難しさ
言葉というのは難しい。上から叩けというと、少年野球の選手だけでなく、大学野球の選手でも極端に上から叩きつけるようなスイングをしてしまう。実際には打撃はレベルスイングが自然であり、時にはアッパースイングでも良い。
DeNAの梶谷選手は、プロ入団時にコーチだった鈴木尚典氏から、上から叩くスイングを指導された、鈴木選手の打撃はアッパーではなく確かに上から入るような打撃だった。しかし梶谷選手は結果がでないと、蓬莱コーチが「好きに打ってみろ」と指導し、現在の下から救い上げるような打撃で長打を打った。自分のスイングにして、逆に思い切り振れるようになり、結果が出せるようになった。
基本的に打撃は「バットを強く振る事」で、振れるポイントを見つける事だという。
石毛氏は少年野球選手にも指導をしているが、言葉で指導する難しさを知っているため、例えば、紙を丸めたボールを作りそれを投げ、素手でキャッチさせるという。そうすると、手だけで取りに行ったのではうまく取れず、ヒザや腰を使って捕まえにいくようになる。
このように、言葉と共に選手に気付かせるための引き出しを多く持つことが重要だ。しかし、例えば紙ボールを使ったり、しゃがませて見せたりというアイディアにつながるかというと、それは現役時代からいろいろと試したり、考えながらやっていた経験やはり難しい。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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