OBへの尊敬
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プロ野球
昨日、侍ジャパンと強化試合で対戦した台湾のナショナルチーム、その4番を打った陳金鋒選手のセレモニーが行われた。台湾のLamigoモンキーズでプレーし、今季限りでの引退を表明している陳選手は、ドジャースでプレーし、代表でも4番として長年チームを引っ張ってきた。
レジェンド
強化試合の終了後に、陳選手のセレモニーが行われた。アテネオリンピックに出場した台湾の主砲で、北京オリンピックでは予選で日本に敗れ出場を逃したものの、ダルビッシュ有投手からホームランを放っている。日本にとっては上原浩治選手や松坂大輔選手も陳選手に打たれるなど、天敵だった。
その陳選手は今季限りでの引退を表明しており、国際試合はこの試合が最後だった。そのためのセレモニーだったが、観客が半ば帰った球場で行われていた。セレモニーがあることが観客に伝えられていたのだろうか?もし知っていれば、セレモニーまで残っていた人も多いと思うのだが。
それはさておき、台湾のレジェンドの存在を改めて感じさせた。
OBに敬意を示すメジャーリーグ
日本の野球の歴史は長く、多くの名選手が活躍し、引退をしていった。確かに、引退をするときには引退試合が行われ、セレモニーが行われる。活躍をした選手にはそのような場が用意される。
しかし石毛氏は、プロ野球を引退後、そういった名選手に対しての敬意が、日本ではあまり見られないという印象があると話す。
石毛氏はアメリカでコーチを経験しているが、メジャーリーグやマイナーリーグでは、控室には、チームで活躍して引退した選手のロッカーがそのまま残っていて、いつでもロッカーに入って利用してもよい形になっているという。また球場に続く通りに、かつての名選手の名前が入っている事も多いという。
またそれは選手だけでなく、コーチやトレーナーなど、チームに大きな貢献をした人に対しても同様で、チームを離れた後もいつでも来てほしいという心があるのだという。
日本では、プロ野球OBが球場に来る事がよくあるが、選手はもちろん球団職員も気が付かない事が多い。日野茂氏が西武のコーチをしていた時も、試合前の練習にスタンドにOBの姿を見つけると、グランド内に入ってもらい、選手全員を集め、「この方は、プロ野球でこういう活躍をされた方で・・・」と選手に説明をし、OBから一言、話をしてもらったという。
しかし日野氏がコーチから離れると、そういう事も行われなくなったと話す。
元プロ野球選手だったことを誇りに思える世界に
選手は若い人が多いため、そういうOBに気が付くことは少ないだろう。しかし球団にとって、OBは宝物だと思う。現在は球団職員も、若い人が多かったり、オーナーが変わった球団も多く、かつての名選手が来た時にそれに気が付き、日野氏のような対応をするという事は難しいだろう。
しかし、プロ野球OBは非常にたくさんいる。そういう方が、家族共に球場に来て、オールドなファンとスタンドで交流をしたりできれば、それはOBにとってもファンにとっても、そして球団にとっても素晴らしい事だと思う。
プロ野球選手は、引退後も長い時間がある。その中で別の人生を歩む必要がある。そこで、「昔はプロ野球選手だった」という誇りを持てるような、そういう世界になって欲しい。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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