今年のドラフトは豊作か?
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プロ野球
プロ野球キャンプでは昨年のドラフト会議で指名されたルーキー選手、特にドラフト1位で指名された選手が、さすがの存在感を見せている。そしてプロ野球のスカウトたちは今年のドラフト会議に向けて、選手をリストアップし視察をスタートさせている。今年のドラフト会議は創価大の田中正義投手を中心に豊作ドラフトと言われるが、果たしてそうだろうか。
豊作ドラフト
過去最高の豊作ドラフトと言われるのは、1989年のドラフト会議だろう。新日鐵堺の野茂英雄投手がトルネード投法からの150キロ近い速球と鋭いフォークボールを見せ、制球力はそこそこだったがその球威で社会人のバッターをねじ伏せた。野茂投手には8球団がドラフト1位指名をし、史上最多の競合となった。
8球団が競合覚悟で野茂選手を指名したのは、外したとしてもレベルの高い選手が残っていると判断したからだろう。その通り、野茂選手を外した大洋は佐々木主浩投手、ロッテは小宮山悟投手、ヤクルトは西村龍次投手等を指名し、活躍をしている。
また単独1位指名をした広島は佐々岡真司投手を、中日は与田剛投手を、西武は潮崎哲也投手を指名し、先発、リリーフで活躍を見せている。1位以外でも古田敦也選手、石井浩郎選手、前田智徳選手、新庄剛志選手などがプロ野球で活躍を見せた。
ここまではいかないまでも、豊作ドラフトとして近年では、松坂世代が関係した1998年と2002年があり、そして大谷・藤浪世代の2012年のドラフトが比較的豊作といわれ、その世代が大学卒業を迎える2016年ドラフトも豊作になると言われている。
選手を見ても、10年に一人の逸材と言われる創価大・田中正義投手や、履正社の左腕・寺島成輝投手、社会人投手の山岡泰輔投手、酒居知史投手などの名前が挙がり豊作も予感もさせるが、果たしてそうだろうか。
2015年と比べて
「2016年のドラフトは豊作」という言葉が躍るが、その内容をみると、「2015年に比べて」と頭についていることが多い。では2015年のドラフトと比較をしてみる。
まずドラフトの目玉となったのは、2015年は3球団が競合した高橋純平投手という事になる。2016年は田中正義投手に12球団が競合するという話も聞く。たしかに田中正義投手は今の大谷翔平投手と比較されるような投手で、目玉としては2016年の方が上とみられる。
ただし、ドラフト1位12人の名前を挙げてみると、2015年の指名では
◎高校生投手:高橋純平、小笠原慎之介
◎高校生野手:平沢大河、オコエ瑠偉
◎大学生投手:今永昇太、原樹理、上原健太、桜井俊貴、岡田明丈、多和田真三郎
◎大学生野手:高山俊、吉田正尚
◎社会人投手
◎社会人野手
2016年で1位が予想されるのは、
◎高校生投手:寺島成輝
◎高校生野手:
◎大学生投手:田中正義、生田目翼、丸山泰資、加藤拓也
◎大学生野手:吉川尚輝、京田陽太
◎社会人投手:山岡泰輔、酒居知史
◎社会人野手:
で、高校生はこれからどんどん出てくるのだが、それでも昨年はこの時期に平沢大河、小笠原慎之介の名前が出ていたのに比べると、やや少ない印象を受ける。特に大学生野手は、2015年は高山、吉田の他にも吉持良汰、茂木栄五郎、大城滉二、柴田竜拓などがおり豊作だったと見るべきで、それに比べると層は薄いように感じる。
近大の畠世周投手や富士大の小野泰己投手などが成長して1位に入ってくれば、社会人に目玉投手がいる2016年の方が豊作になるかもしれないが、比較してそれほどずば抜けて豊作という事は考えにくい。そうなると1989年のように、「野茂を外しても他がいる」という事にはならなさそうで、現実を見て田中正義投手を回避するチームは少なくないのではないかと見る。
高校生、大学生野手などにこれからどんどん活躍する選手が出てきて、2016年はやっぱり豊作だったと言われるような年になることを願う。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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