上から行くか下から行くか、12球団ルーキー事情
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プロ野球
ルーキーにしてみれば、プロ野球選手としてスタートとなるキャンプを1軍で迎える事は、それだけ評価が高い事を実感するとともに、昨年までプロ野球でプレーしていた選手といきなり同じラインに立つことの大変さも感じる事になる。
ルーキーのキャンプ1軍スタート
まず今年のキャンプで1軍スタートとなった選手を見てみると、セリーグが21人、パリーグが11人となっている。ちなみに昨年はセリーグが18人、パリーグが12人とセリーグの方が1軍キャンプでスタートするルーキーが多い傾向にある。
ルーキーを1軍キャンプに呼ぶことについて元オリックス監督の石毛宏典氏は「チームの戦力、方針による。」と話した。逆に言うと、ルーキーの1軍招集の状況がチームの状況や監督の方針を示すものと考えられる。
チーム事情を分析する
これは中日が新人選手の即戦力志向が強く、今年は5人、昨年は8人が1軍キャンプスタートとなっている事や、福岡ソフトバンクがすべて高校生選手を獲得し、2軍3軍からのスタートとしていることが大きな要因だろう。ただし昨年は北海道日本ハムが、今年は埼玉西武がルーキーは即戦力選手も含めて2軍スタートという方針を打ち出しており、リーグとして新人選手をすぐに起用するのでなく、プロの水に慣らしてからというやや余裕を感じさせる方針でチーム作りを行っている。
高校生の1軍キャンプスタートは、昨年は東北楽天のドラフト1位・安楽智大投手のみだったが、今年は中日のドラフト1位・小笠原慎之介投手、千葉ロッテのドラフト1位・平沢大河選手、東北楽天のドラフト1位のオコエ瑠偉選手の3人となった。
中日は谷繁監督が小笠原投手を近くで見たいという事で1軍スタートとなった。まだ成長途中の投手でもあり、このまま開幕1軍という可能性は少ないと思うが、森ヘッドなど1軍コーチ陣が小笠原投手をチェックし、どのように育成するのかを決めるという事だろう。埼玉西武やオリックスは即戦力投手も2軍スタートとし、2軍のコーチ陣に育成方針も任せている。1軍とファームの連携が密となっており、信頼感があることを示している。
東北楽天は課題が多いと言われるオコエ瑠偉選手をあえて1軍からスタートさせた。首脳陣が見たいという事は中日と同じかもしれないが、課題は課題として、長所は長所として感じてもらいたいという意図がありそうだ。守備や足は1軍でも通用するという自信をもって、2軍で打撃を磨いていくことになりそうだ。
平沢大河選手について千葉ロッテは、腹をくくったという感じがする。クルーズ選手、今江選手がチームを離れ、内野手は危機的な状況にもなっているし、ドラフト1位で指名した平沢選手をどんなことがあっても1軍から外さずに育てるという強い意気込みも感じられる。開幕も1軍で迎えるのではないかと思う。
セリーグの巨人や横浜DeNA、広島は昨年までの戦力で課題となっているポジションのルーキーを1軍に入れている。Bクラスの広島や横浜DeNAは自然と1軍に入ったルーキーが多くなったのだろう。それだけポジションの課題が大きく、ルーキーにかける部分もあるのかもしれない。
セリーグで特徴的なのは阪神、Aクラスとはいえマートン選手や呉投手などが抜け、戦力が整っているとは言えないが、1軍ルーキーは坂本捕手のみ。高山選手が故障を考慮して2軍スタートとしたものの、2軍の掛布監督などを信頼して預けたのだろう。昨年3位の阪神と4位の広島、育成路線をとった金本監督と即戦力路線の緒方監督、どちらが最終的に結果が出るのか楽しみだ。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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