中畑清監督について、駒大の後輩・石毛宏典氏が語る
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プロ野球
横浜DeNAの監督を4年間務めた中畑清監督が、前半は首位だったものの後半失速し、最下位に沈んだことを受けて辞意を申し入れた。球団はオールスター後には中畑監督の続投を表明し、中畑監督も続ける意思が強かった。そして最終戦後のあいさつでも退団という言葉は一言も使わなかった。
4年間の実績
2012年から2015年の横浜DeNAベイスターズの成績を見ると、
2012年 46勝 85敗 13引き分け 6位
2013年 64勝 79敗 1引き分け 5位
2014年 67勝 75敗 2引き分け 5位
2015年 62勝 80敗 1引き分け 5位
この成績だけを見ると、解任されてもおかしくないと思うかもしれない。ただし球団は2008年は48勝94敗、2009年も51勝、10年、11年も48勝、47勝と他球団に大差をつけられての最下位だった事を考えると、前半に貯金を2ケタ作って走ったチームにしただけで、可能性のあるチームへと持ってきた。
持前の明るい性格で、試合前後の記者との会話でも常に明るく、話題を提供していた。また試合前後には試合に勝っても負けても観客に礼をし、声援などに応えていた。この明るさによって、チームの選手のプレーが、やる気の面で変わってきたことは間違いないだろう。
石毛氏が話す
中畑清氏は、石毛宏典氏にとって駒大の先輩で、巨人と西武が日本シリーズで戦いを繰り広げた時は、両チームのキャプテンとしてチームを引っ張った。お互いの明るいキャラクターを持っていた。
石毛氏は中畑氏について監督を辞任する前に「あの明るさは天然もの」と、チームを鼓舞するために演じたりというよりは、心の底から喜びを見せるという明るさだったという。そして「中畑監督はしっかりとしたコーチが必要」と話していた。
中畑監督は作戦、戦術というよりは、明るさであったり選手をしっかりと見きわめて選手の特徴を生かせるようなポジションチェンジをしたりと、選手のやる気を出させる役割が得意だった。代わりに相手チームの分析をしたり作戦をたてる参謀が必要な監督でもあった。
2012年には中畑監督の希望で高木豊氏をヘッドコーチに迎えた。中畑監督は巨人の出身である。横浜DeNAというチームに通じてはいない。そこでチームに通じ、OBやフロントにもつながることができ、コーチの経験もある高木氏をヘッドコーチに迎えた。高木コーチもそれに応え2013年には60勝に到達するチームとなった。2013年には二宮至コーチを野手総合コーチに迎え、駒大から巨人の繋がりがあり話せるコーチだったのだろう。
ところが2013のオフ年、高木コーチが退団、二宮コーチも一度退団が発表され、その後2軍のコーチに再び呼ばれるという事が起きた。2年連続でBクラスとなったチームを、CSに出場できるチームにという事だったのだろう。しかし2014年に組閣されたコーチ陣は、実績のある馬場コーチの他は、プロ野球でのコーチが初めてとなる進藤コーチを作戦コーチにし、引退したばかりの小池正晃コーチや、引退して2年目となる新沼慎二コーチ、投手コーチも川村丈夫コーチと篠原貴行コーチという若い面々が並んだ。2015年も二軍で実績を挙げた大村巌コーチを昇格させたものの、プロ野球のコーチ初となる坪井智哉コーチを加えるなど、変わらずの若い布陣で臨んでいた。
球団側としては若いコーチ陣を育成しながら成績も残すという難しい事を、中畑監督に託す事となり、大きな負担の中で指揮を執っていた。
コーチの陣容
コーチ陣の陣容について、すべてを監督に任せてしまうと監督が変わった時にコーチ陣も辞めてしまい、チームに残るものが無くなってしまう可能性がある。横浜DeNAは高田GMを中心として監督が交代してもチームに経験などを財産として残す体勢が取られている。現在ではGM制などフロント主導の首脳陣づくりが主になっている。
結果だけ見ると退団も仕方ない、監督が責任を取る事も仕方ないと思うが、もし経験が豊富なコーチがいたらどうだっただろうとも思う。中畑監督は「また会いましょう」といった。おそらく来シーズン以降、他球団の監督人事には必ず名前が挙がってくると思う。
(記事:Professional-view Baseball 柄井)
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