挫折もありの野球人生
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大学野球
野球人生は、平たんな道ではないようだ。少年野球、高校、大学、社会人、そして独立リーグ、プロ野球、メジャーリーグ、進路の途中途中に挫折もあれば迷い道もある。
山あり谷あり
ある選手がいた。その選手は高校1年生で体も大きく、多くの高校から声がかかる中で甲子園出場の常連校に進学し、そこでもいきなり投手で4番を任された。そして大舞台でも1年生で活躍を見せ、「将来はプロ野球、ドラフト1位指名も間違いない」と周囲は大いに盛り上がった。
しかしその選手、3年生の時は活躍のニュースは一切聞かれず、ドラフト会議で指名される事もなかった。大学へ進んだものの退部をしていた。理由はいろいろある。当然体に痛いところもあった。けれど他の選手が感じている痛みと同じ程度で、それが原因で野球ができなかったわけではない。大舞台で活躍した後に周囲に注目され、自分が知らないうちに地道な道を外れてしまっていた。自分は違う、これくらいで大丈夫だという気持ちがあったようだ。
一方、高校3年生になり急激に成長を、その勢いでドラフト会議の1位指名でプロ入りする選手もいた。1年生の時には名前を一度も聞かなかった選手だった。
谷田成吾選手と茂木栄五郎選手
大学でも山あり谷あり、早稲田大の茂木栄五郎選手はこの春5本塁打を記録した。1年生の頃から早稲田のサードで出場して活躍し、2年生の秋は出場1試合のみだったが、そのほかのシーズンは規定打席に到達し3年生から打率は3割を常に超え、今年の春は5本塁打を放った。プロのスカウトがドラフト候補として最も注目するシーズンに大活躍を見せ、ドラフト会議で上位候補にも名を連ねている。
一方、慶応大の谷田成吾選手も、高校時代に70本以上のホームランを放ち1年時は規定打席に到達しなかったが、2年時からレギュラーとして出場、3年生の春には4本塁打、秋には3本塁打を記録、高橋由伸2世と呼び声も上がるなど順調に来ていた。しかし4年生の春、打率.146に1本塁打と低迷してしまい、新聞などのメディアでドラフト上位候補として名前が挙がる回数はめっきりと減った。
しかしこの秋、茂木栄五郎選手は2試合7打数でノーヒット、谷田成吾選手は立教大とのカード3試合で3試合連続ホームランを放った。谷田選手は春の低迷で大きな挫折を経験し、この夏に体力トレーニングや練習を重ね、「これ以上やることは無いという所までやった」と話すほど練習をしてきた。その結果がすぐに表れた。一方茂木選手も気を抜いたわけではないだろう。大学日本代表では主軸として活躍をした。試合には出ているのでケガというわけではないと思うが、高校日本代表との壮行試合では唯一試合に出場をせず状態は良くないようだ。
道はまだ続く
谷田選手、茂木選手には今年、ひとまずクリアしなければならない関門がある。プロ入りをするためのドラフト会議だ。両選手ともプロ入りは夢の一つで、そのために少年野球、高校野球、大学野球で一線級の選手として頑張ってきた。
二人がドラフト会議でどのような順位でプロ入りするのかはわからない。もしかすると今年はプロ入りをしないかもしれない。それは最終目標が「プロで活躍する事」だから。この二人以外の選手も、「プロで活躍をするため」に自らの進路を選んでいく。
これらの選手がプロで活躍する姿を見せたとき、「あの時に挫折をしたから今がある」、「あの時のドラフト会議でプロ入りできなかったから今がある」、というようなコメントが聞けるよう、挫折も活躍もいろいろと経験してほしい。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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