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保護された中での走塁

公開日: : 侍ジャパン

 侍ジャパンU18代表は、今年も優勝をすることができなかった。キューバ、韓国、オーストラリアなどには力の差を見せて勝利したものの、アメリカの壁を崩すことはできなかった。その原因は?

アメリカと1点差

 今回のアメリカとの試合、1-2と1点差で大きな差は無かった。一つの偶然で点数は逆だったかもしれず、大きな差はないように見える。でもたとえ日本が勝っていたとしても決勝戦を見て言いたいのは、日本の野球が封じられたという事。

 1次ラウンド、スーパーラウンドにおいて、日本は打線がつながり点差をつけての勝利が続いた。特に相手の四球でランナーを出し、足を絡めてチャンスを広げ、ヒットや相手のエラーによって得点を奪った。日本は守備や走塁技術を含めての総合力が高かった。野球はまず守備から、投手がきちんとストライクを取れ、打ち取られた球を野手がキッチリとアウトにすること、またランナーを一つでも先に進める、または進めないことが大切で、この差が10点差をつける力の差となる。日本は今大会それが一番できていたのは間違いないと思う。

 しかし決勝戦、アメリカはやや隙があるものの勢いや能力が高く、共にチャンスは9イニングで2度か3度程度だったと思う。日本はミスで相手に得点を奪われたがそれは仕方ない。それよりもチャンスで日本の足が封じられたことで、1点しか奪えなかったことが大きい。

 まず日本のチャンスは5回、1アウトながらオコエ瑠偉選手がヒットで出塁する。盗塁まではいかなくとも足で投手を揺さぶることができ、ヒットでサードまでいけるランナーが塁に出たことでチャンスとみられた。しかし、オコエが牽制に戻る事もできず挟殺される。審判にボークをアピールしたものの認められない。

 6回も先頭の篠原涼選手がこの日唯一の四球を選んで出塁する。しかし、前のイニングでオコエ選手が刺された事でランナーは足で揺さぶる事ができず郡司選手がバント失敗、篠原選手も捕手がはじいた隙にホームをついたがアウト、その後4連打が出たものの得点は1点のみだった。

 

保護された環境での走塁技術

 走塁技術は野球の中で最も難しい。走力と共に素早い判断力が要求されるし、相手のモーションを盗んだり、勇気もいる。この試合、日本の足は封じられたと言って良い。

 日本の野球は投手に厳しい。2段モーションの判断にしても、この夏に専大松戸の原嵩投手がボークこそ取られなかったものの試合中に何度も注意されたという。ボークでないのなら何が悪いのか非常に疑問に思う。プロ野球でも外国人投手がボークに苦労する事がある。

 もちろん国際試合で日本と同じくらいボークに厳しい審判もいるが、全体的にはやや緩い感じがする。日本の野球で同じようなモーションの投手だらけの中で盗塁の技術を磨いていて、国際大会でアバウトな判定の中で対応できるのか。そんなことを感じた。野球をもっと幅広く多様でバラエティなものにするため、プロも高校野球も審判で勉強会もボークの判定は国際試合などを例に勉強しても良いかもしれない。

 日本の審判は精度が非常に高い。しかしそれが世界で勝つためには、必ずしも良い事ではないのかもしれない。

(記事:Professional-view Baseball 編集部)

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