また一つ、壁を乗り越えた侍ジャパン
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侍ジャパン
侍ジャパンの活動は、日本代表チームの役割もあるが、日本野球の統合という使命もある。各世代、各連盟や協会などがバラバラに行っていた代表選出や代表のPRなどの活動を、侍ジャパンのブランドの元で行う事で統一感が増している。そして、8月26日、また一つの壁を越えた。
乗り越える壁
日本の野球はかつては、プロとアマチュアで大きく隔たっていた。特に学生野球の大学生や高校生とは親類のプロ野球選手とキャッチボールをしてもいけないと言われる厳しいものだった。
それが、社会人が元プロ野球選手を受け入れてプロとの距離が近くなり、大学、高校にも元プロ野球選手が指導者として参加できるようになっていった。そして発足した侍ジャパンによって各代表が統合され、大学代表や社会人代表とプロ野球との交流戦などを実現してきている。
そしてこの日、高校代表と見えるU18代表と大学代表が対戦した。これまで高校生と大学生では力の差があり、また金属バットと木製バットの違いもあったため、大学生と高校生との試合は、一部の高校や代表チームが、大学1,2年生主体のチームとやる程度だった。しかしこの日は、大学生の4年生を中心とし、しかもトップクラスの選手と高校生が対戦した歴史的な日となった。そして9-2で大学生が勝利し、その実力の差を見せつけた。
これでようやくスタート地点に立ったといえる。これまでは対戦がほとんどなかったので、どの程度の実力の差があるのかはわからなかった。9-2という差が、今後高校生が大学生に追いつく目標となり、さらに高校野球が発展すると思う。
プロvs高校生
日本のプロ野球では、最下位に沈むチームが時折「PL学園よりも弱いのでは?」「横浜高校よりも弱いのでは?」とささやかれる事もある。メジャーリーグでは高校生世代とメジャーリーグの選手が練習試合などを行う事もある。日本でも、プロ野球vs高校生というのは、夢の対戦だろう。
今年、プロvs大学代表が対戦し、その大学代表とU18が対戦した。まだ実力差はあったものの、プロvs高校が実現可能であると認識させた。同じ学生野球同士の対戦だから実現できたのだろうし、高校生がプロと試合をする必要性があるのかどうかという議論はあるだろうが、可能性はあるという事が示された。
少子化の中で野球の人口も減るのは確実で、これから一体で太い組織が必要になる。侍ジャパンは確実に変わっている。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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