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合理的な補強とその危うさ、東北楽天のチーム作り

公開日: : プロ野球

 東北楽天は2004年オフからプロ野球に参入し、当時の近鉄やオリックスから分割ドラフトで選手が加わったものの、2005年には38勝97敗、翌年に野村克也氏が監督となっても47勝85敗と、実力に差があったといえる。しかし2009年には77勝66敗でAクラス入り、そして設立9年目に2013年には星野監督の元で82勝59敗で優勝し日本一に輝いた。短期間に力をつけたのには、球団の明確で合理的な補強方針があった。

投手は日本人、主軸打者は外国人

 東北楽天は当初、オリックスを戦力外となった山崎武司選手が4番を任された。戦力外となった選手を野村監督が発奮させ、チームの4番としての活躍を見せていた。しかし、東北楽天はドラフト会議では野手よりもとにかく投手の補強を優先し、野手、特に4番など主軸の打者は他球団から獲得していた。とにかく短期間にチームを強くするには、投手力がカギという分析の元で、田中将大投手や岩隈投手などの投手で他チームと互角の戦いを見せるようになった。

 山崎選手や中村紀洋選手、松井稼頭央選手といった実績のあるベテランがチームを支えたが、衰えもあって引退や退団をしていくものの、主軸としてメジャーリーガーとしてもバリバリの実績を持つアンドリュー・ジョーンズ選手を獲得、マギー選手とのコンビで2013年に日本一を果たした。

 チームを短期間で強くするためには他球団よりもとにかく良い投手をたくさん獲り、主軸は外国人など他の球団から獲得をした。日本人の場合、投手ではメジャーリーグでエース級の活躍を見せる選手が出てくるが、野手、特に主軸を打つ選手はメジャーリーガーに比べて差があるように見える。松井秀喜選手のように20年に1人の選手でようやくメジャーリーグの主軸として通用する。

 

和製大砲の大切さ

 和製大砲はチームにとって喉から手が出るほど欲しい。外国人選手は成績に波があったりすぐにチームを離れてしまうリスクがある。またチームの4番が信頼される存在ならば、1番から3番、5番から9番の選手が自分の役割を認識し打線につながりが生まれる。信頼というのはただ打つだけではなく、人間的にチームの中心として認められる選手である必要があり、1年でその信頼を得るのはなかなか難しい。AJ選手のように実績も十分、人間的にも素晴らしい人物でなければ。

 その点、和製大砲が4番に座るとチームは安定する。チームで4年前後を鍛えられ、ファームで実績を積んで認められた4番打者は、周りの選手も信頼をしている。その4番のために自分の成績を犠牲にしても良いと思える、その信頼感がある。

 しかしその和製大砲を育てるには、毎年可能性のある選手を獲得したり、リスクを取って高校生選手の将来性を予想してドラフト1位で獲得する必要がある。北海道日本ハムの中田翔選手や横浜DeNAの筒香嘉智選手は大砲として、周りからも信頼感のある4番に育ったものの、巨人の大田選手のように結果が残せず、大砲タイプではなくてプレースタイルを変える選手もいたりする。

 外国人選手も技術的にモチベーション的に活躍できない選手がいて、獲得にはかなりのリスクがある。しかし、将来性を予想して高校生野手をドラフト1位で指名するよりもリスクは小さいかもしれない。ドラフト会議では投手をとにかく確保し、4番は外国人選手を補強するほうが合理的という考えにも行きつく。そうやって東北楽天は田中将大投手や則本昂大投手など多彩な投手と、AJ,マギーの外国人主軸がはまり日本一を手にした。合理的な考え方による補強が大成功したといえる。

 

長期的な補強

 しかし2014年は最下位に転落、2015年も苦しい闘いをしている。エース・田中将大投手の抜けた穴はもちろん大きいが、AJ選手がチームを離れ、鳴り物入りで獲得したユーキリス選手の性格を予想できなかった。打線はオーナーも口を出したくなるような燦燦たる状況となっている。打撃不振の責任を取って田代打撃コーチが退団したが、明らかに球団の補強戦略のミスといえる。

 東北楽天は球団創設以来、ドラフトで獲得した野手がまだ2ケタホームランすら打っていないという。ドラフト会議では確かに下位でスラッガータイプの高校生を獲得しているものの、非常に寂しい状況になっている。投手を中心としたドラフトは、日本人選手のバランスを悪化させ、外国人選手を外した時にはもろくも崩れ去るものだった。

 巨人は長嶋監督時代に他球団の4番を集めた打線を作ったものの、苦戦を強いられた。他球団も長打力のチームを目指したり、スーパーカートリオなど足の速い選手を集めたりと様々なチャレンジをして苦労をしている。東北楽天はまだ10数年の経験しかない。一つのチャレンジで成功したものの、これから長期的に強いチームを目指すために、新たなチャレンジをする時期に入ってきた。

 日本人は投手、主軸は外国人という合理性から、リスクを取って高校生の将来性を見越してドラフト1位で指名するようなチームになることができるか。東北楽天の次のチャレンジに注目したい。

(記事:Professional-view Baseball 編集部)

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