守備の良くない投手はどのように評価されるのか
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スカウト活動
投手の評価、もちろん打者に対する投球のすばらしさが最も評価される点だが、ドラフト会議で指名された投手に対するスカウトや評論家の評価を見ると、守備のうまさ、牽制の巧みさについても記載されている選手がいる。
投手の守備の評価は?
守備の良い投手というと、思い浮かぶのは桑田真澄投手だが、桑田投手は野手としても評価されていた程の守備力の良さを誇っていた。しかしドラフト会議では早稲田大に進学したものの巨人が単独1位指名したことで、その話題が大きくなりスカウトの評価どころではなかったが、球速、コントロールのほかに、フィールディングも評価されていたのは間違いない。
今年の候補では、仙台大の熊原健人投手が、大学野球選手権でも打球処理に苦労し、失点につながったケースもあった。また、来年のドラフト注目候補、創価大の田中正義投手についても、牽制やバント処理の課題を相手に突かれる事もあるという。
プロ野球では、牽制から崩されたり、守備から崩されたりという事もある。プロのスカウトも当然、そのあたりはチェックをしているが、守備や牽制というものは、どの程度評価に影響してくるものなのでしょうか?
相手はバッター
元西武スカウトで、また横浜ベイスターズの2軍監督も務めた日野茂氏は、投手の守備の評価について、「投手の場合、相手はバッターなので、評価の中心はそれがほとんど」と話し、守備や牽制に課題があって指名を避けるかの問いには、「それは無かった」と話す。投手の場合はやはり投球の評価で評価が決まると言って良い。
では投手の守備について聞くと、「小さい頃から教わっていないことが原因」「投手の守備というのはやる気があればできるようになる」と話す。従ってプロ野球に入ってからでも守備は鍛えられるという事だった。
ただし、「精神的な強さが必要」という事を日野氏は話す。プロに入ればそういう投手は、守備や牽制でエラーをしたりと屈辱的なプレーをしてしまう事は少なからずある。その時にファンなどからは叩かれたりという事にもなるだろう。しかしそこで、そのプレーを引きずらずに、課題を取り組む力に向けられるかどうかのようだ。
それでも投手の守備力や牽制のうまさは、評価に対する影響はそれほど大きくないにしても、投球で同じ力だったとすれば、守備や牽制のうまい選手が選ばれることになる。それは忘れないで、投球に、守備に牽制に全力で取り組んでほしいと思います。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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