選手の故障の昨今
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プロ野球
左前腕外側部橈側手根伸筋損傷、右膝蓋靱帯炎、右前距腓靱帯損傷、現在のプロ野球選手は、病名も正確に、細かい個所まで説明されるようになった。故障の今と昔について、元プロ野球選手に話を伺いました。
昔は個人が判断
中日などでプレーをしていた日野茂さんは、「自分たちの現役時代には、個人で判断をしていた」と話す。現在でも選手に、痛いところがあったらトレーニングコーチなどに報告をするように言っているが、はっきり言ってプロ野球戦選手で、痛いところが無い選手のほうが少ないのではないだろうか。
そして申告をすると、チームドクターから前述のような長い名前の病名の診断を受け、病名を聞くと怖くなり、「力が入らなくなってしまう」という。
日野さんが現役の頃などは、痛いところはあるが、「自分が出られると判断すれば試合に出ていた」と話す。特にチームの主力選手は、痛いところがあっても毎試合試合に出ていたと日野氏は話す。それは「チームへの責任感」が強かったという事もあるし、「レギュラーを渡したくない」という気持ちが強かったようだ。
なので、現在ならば「疲労骨折」と診断される状態でも、主力選手は試合に出ていたという。
注意したいのは、それがすべて正しいという事ではないということ。それでも、故障に対して自分で向き合い、どんな故障であっても、自分の責任として認識していた。
トレーナー、チームドクターに責任も
現在においては、チームのトレーナーやチームドクターの役割が大きくなってきているようだ。選手は故障を申告し、トレーナーやドクターが状態を判断して、「全治○○」という形で復帰までの日数を首脳陣に報告する。
首脳陣もそれを聞き、その選手が復帰するまでの戦い方を考える。しかし、いつまでにと言っていた日付けを過ぎてもその選手が復帰できないと計画が狂い、トレーナーに「まだ戻ってこないじゃないか」と問う事になる。
そうなるとトレーナーやドクターも、全治までやや長めの日数で報告をする傾向が強くなってくる。それは仕方のない事なのだが、トレーナーやチームドクターも、チームの状況を左右する一員として役割が大きくなっている。
故障はチャンスでもある
もちろん故障することは良くない。下手をすれば、野球ができなくなってしまうかもしれないし、日常生活に影響の残る事もある。それでも、故障をするという事は、「自分に何か欠点がある」と考えるチャンスだと、日野さんは話す。
フォームが悪かったり、身体の柔らかさや力が足りなかったり、「故障をして休んだら、また同じ事をしないように考える事が大切」と日野さんは話します。故障は、自らのプレーやフォームを良いものに変えて、生まれ変われるチャンスだと考えられます。
故障をしても前向きに、時間を有効に使って野球に取り組めれば、息の長い選手になっていく事になるでしょう。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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