【大学野球選手権特集】仙台大・熊原健人投手を元プロスカウトが評価する
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大学野球
大学野球選手権が始まりました。大会前に巨人がスカウト会議を開き、富士大の多和田真三郎投手と共に、仙台大の熊原健人投手をドラフト1位候補にリストアップしたという報道もありました。熊原投手とはいったいどのような点が評価されている投手なのでしょうか?元西武のスカウト・日野茂さんにチェックをお願いしました。
熊原健人投手とは?
熊原健人投手は、高校時代は宮城の柴田高校でプレーしていました。柴田高校は県内では強豪校として知られ、この春の宮城県大会では決勝に進出、2013年の夏も決勝まで勝ち進んでいます。しかし熊原投手はそのチームに2番手投手で、リリーフなどで投げていました。体も178cm前後で大きいわけではなく、なかなか目が留まらない選手でした。
しかし、仙台大学の森本監督が、たまたま見た試合で2番手投手で登板してサヨナラ負け、しかし「腕の振りと球筋が他の投手と違う」と大学に推薦すると、それから3年後の2014年春には最速152キロを記録する投手になりました。大学野球選手権でも福岡大戦で9回1/3をなげて5安打8奪三振1失点と好投し、侍ジャパン大学代表やU21代表にも選出されました。
最速152キロの速球は大学4年になると、常時145キロ以上を投げるようになり、さらに速球の強さは増しました。ただし変化球の数が少なく、フィールディングなどにも課題を残す、粗削りな投手と評価をされています。
元プロスカウトが評価
今回は熊原投手の以下の映像を見てもらい、評価をいたしました。
Youtube 2014/6/13 熊原健人 (仙台大学) 3年春 146km/h計測 大学野球日本代表
Youtube 【21U】日本代表#22 熊原健人投手(仙台大) 【2014】/JPN 22 KENTO KUMABARA
まず、熊原投手の投球で最初に驚くのが構えたときの姿勢で、左足を大きく一塁側に置く形をとります。ただしこの構えは投球自体にはそれほど影響は無く、日野さんは「投球のバランスは非常にいい」とバランスの良さを評価しました。強い球を投げられるのは下半身の強さもあり、しっかりとした土台で投げられているため、大きく崩れる事もなさそうです。
しかし日野さんは、「面白い投手がいるなぁ」と最初の構えについてつぶやいていました。投手はそれぞれいろいろな考え方を持ち、特に圧倒的な指導者がいないチームでは、自らが考えて特徴を磨いていくようになります。熊原投手も自分で考えて身に着けた構えなのでしょう。これを変える必要は全くありません。
そして日野氏は投手のフォームについて、「自分のリズムで投げる事」と「トップの位置の重要性」を改めて指摘しました。東海大相模の小笠原慎之介投手の時もトップの位置を作る難しさについて話をしていましたが、良い投手に共通する点として、「TOPの位置で一度止まって見える」といいます。自分のリズムでテイクバックから腕を持ち上げ、そこで狙いを定める「TOP」の位置で一瞬止まって見える事があります。
このトップの位置で止まり、そこから体全体で「グワーと投げていく」、トップの位置で投球のフィニッシュや投げられる球の力とコントロールが決まると言って良いのでしょう。
今度から野球を見る時に、投手がトップの位置で一瞬止まって見えるかどうか、確かめてみるのも良いかもしれません。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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