その時を待つ斎藤佑樹投手、その凄さは大舞台で
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2010年のドラフト会議、4球団がドラフト1位指名して華々しくプロ野球に入った北海道日本ハムの斎藤佑樹投手、プロ入り後の成績はパッとせず、先日久しぶりに名前を聞いたかと思うとそれは、東大が5年ぶりに東京六大学で勝利を収めた際に、5年前に黒星を喫した投手という事でのことだった。しかし私は、斎藤佑樹投手には、今でも高い期待を持ち続けている。
常にすごい選手ではない所がスター(早稲田実時代)
斎藤佑樹投手は、早稲田実業時代に夏の甲子園大会で優勝し、早稲田大学でも活躍してドラフト1位指名でプロ入りしたものの、常にすごかった投手ではない。
例えば、高校時代は3年生の春に、センバツ大会に出場し、延長15回の引き分け再試合や準々決勝に勝ち進んでいるものの、この時はあまり話題にはなっていなかった。素質は良い投手だったが、決してすぐにプロに行ける投手とは見えなかった。
しかし、夏、激選の末に西東京大会を勝ち上がると、中田翔選手のいる大阪桐蔭戦で圧巻のピッチングをし、マウンドでハンカチで汗をぬぐう姿で一気に火が付く。その勢いに乗るように決勝まで勝ち進むと、決勝では駒大苫小牧の田中将大投手と延長15回の投げ合いを演じ、引き分け再試合でも先発して4-3で完投勝利をした。ちなみにこの時、田中将大投手は2試合とも先発をしなかったが、斎藤佑樹投手は2試合とも先発をしている。
常にすごい選手ではない所にスター性(早稲田大時代)
大学時代も、1年生の春に開幕の東大戦で先発し、6回1安打8奪三振という完ぺきな投球でデビューをすると、1年目でリーグ優勝に大きく貢献し、続けて行われた大学野球選手権でも全国制覇に大きく貢献し、MVPを獲得している。秋もリーグ制覇に貢献している。
しかしそれからは、コンスタントに勝利を挙げ、2年秋もリーグ制覇をしたものの、話題からはやや遠ざかった。そして大学4年生春には優勝をかけた早慶戦で1戦目の先発マウンドに登り、9回を2失点と好投したものの、大事な星を落とす。そして3戦目は3回で降板し、優勝を慶大にさらわれている。
そして大学生活最後の4年秋、斎藤佑樹投手は東京大学戦で7回3失点で降板し敗戦投手となった。チームは優勝争いに残り早慶戦で勝利すれば優勝という場面で、再び斎藤投手は1戦目の先発で星を落とし、慶大に勝ち点で追いつかれる。
それでも斎藤投手はスターだった。舞台は早慶による優勝決定戦にもつれ込んだ、斎藤投手はこの試合で8回途中まで自責点2に抑え、優勝をした。東大に敗れ、早慶戦1戦目にも敗れた斎藤投手だが、自ら作ったような優勝決定戦という舞台で、東京六大学に久々の36000人、満員御礼の観客を呼び、その中で最後の勝利を挙げた。
ここで、斎藤投手は「斎藤佑樹は何か持っていると言われつづけてきました。今日、何を持っているか確信しました。それは仲間です」という名言を残し、大学野球を後にした。
最後の舞台で活躍を見せるのが斎藤佑樹投手
斎藤佑樹投手はスターである。高校野球でも大学野球でも最後の大舞台で力を発揮し、大勢の観客の注目を集めて勝利を得る。それも、甲子園では決勝での引き分け再試合、大学では優勝決定戦の早慶戦という特別な舞台だった。
今はまだプロ野球で活躍ができていない斎藤投手だが、大きな場面が来た時、大きな仕事をしてくれる気がする。例えば、優勝を決める最終戦、日本シリーズで第8戦までもつれ込んだ試合など。
プロ野球選手としてはそれではダメなのかもしれないが、斎藤投手はプロでも何かやってくれると、今でも期待をしている。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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