早稲田実・清宮幸太郎選手を、元プロ野球スカウトがチェック
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スカウト活動
松井以来の怪物、和製ベーブルースと報道される早稲田実業高校の清宮幸太郎選手、まだ1年生の4月ではあるが、元プロ野球スカウトにチェックをお願いした。
怪物の打撃
清宮幸太郎選手は、リトル時代に132本塁打を打ち、また投手としても他の選手を圧倒する球威で世界大会で優勝を成し遂げた選手だった。その後、調布シニアでプレーし、この春に早稲田実業に入学している。右投げ左打ちで、184cm97kgという体格も、他の選手を圧倒している。
先日の高校野球の東京大会でホームランを放つなど3試合で6打点と活躍をし、マスコミからは「怪物」の称号を与えられたようだ。その清宮選手の映像を、元西武のスカウト・日野茂氏に見てもらい、チェックをしてもらった。
見てもらった映像は次の通り
youtube 早実 清宮幸太郎 高校第1号3ランホームラン
youtube 早稲田実業 清宮幸太郎・3安打!!(早大学院戦/2015春季東京都大会4回戦)
まず日野氏が挙げたのは、「投球にうまくタイミングを合わせることができている」という事だった。初めて対戦する相手だったと思うが、プロでも投手のタイミングに合わせるのはなかなかむずかしい。それができているのはバッターとして評価できるとした。
次に挙げたのが「右足を待つことができている」という点。投手は速球と変化球を織り交ぜて挑んでくるが、投球に合わせてあげた右足が、変化球を投げられも一度待ってタイミングを合わせることができている。下半身が安定している証拠であり、これができると変化球にも対応して打つことができる。
長打力の裏には、もちろんパワーもあるが、打者としてタイミングをとる技術に優れているのが、清宮選手の特徴という事だった。
怪物をどう育てる?
日野茂氏はプロ野球でも西武ライオンズや横浜ベイスターズで2軍監督などを務めているが、もしチームにこのような怪物が入ってきたら、どのように育てるのか?を聞いてみた。
すると日野氏は、「こういう選手は4番で育てるしかない」と、清宮選手のタイプを見てそのように話した。自分だったら最初から4番に座らせてそのまま打たせ続ける」と話した。高校生は厳しい攻めをされたりして打てなくなったりして、バッティングに悩むと、そのまま成績が下降し、最悪の場合、野球から離れてしまったりする選手もいなくはない。それでも日野氏は「4番で使い続けて、自分で気付かせる」と、自分の足りないもの、成長が必要なものを、自分で考えさせていく事が大切と話した。
また、清宮選手は既にスポーツ紙の1面を飾るなど、スター選手としてマスコミから取り上げられている。そうなるとまだ高校1年生という事もあり、悪い影響が出る心配もある。それでも日野氏は4番で使い続けるという。これからも様々な場面でマスコミなどに取り上げられる事になるだろう。その時のために、スターとして育てて行くことも大切なようだ。
まだ高校1年生、これから様々な壁に当たるだろう。それでもその壁を自分でどのように乗り越えていくのか、そこで成長し将来は立派な野球選手となっていく。
(Professional baseball view 編集部)
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