*

敦賀気比が初優勝、思いを継いで福井県勢が甲子園初制覇

公開日: : 高校野球

 選抜高校野球大会は敦賀気比の優勝で幕を閉じた。敦賀気比は、昨年(2014年)の夏にベスト4、2013年の春もベスト4に進出し、優勝まであと1歩のところまで来ていた。

学校創立29年

 敦賀気比高校は1986年に創立された私立学校で、野球部も創立と同時に創部している。そして1992年に少年野球の名門・鯖江ボーイズを率いていた渡辺孝一監督が敦賀気比の監督に就任すると、鯖江ボーイズなど近隣の有力な選手が高校に集まり、1994年の夏の甲子園に初出場した。翌1995年には夏の甲子園ベスト4に進出、1997年の夏もベスト8に進み、内海哲也投手、三上真司投手、東出輝裕選手などプロ野球に進んだ選手を排出していた。

 しかし1998年、選手が無免許で飲酒運転をして人身事故を起こすというとんでもない事件が起こり、その後、渡辺監督の体罰も発覚して退任すると、その後2008年まで甲子園からは遠ざかった。2008年のセンバツで10年ぶりとなる甲子園出場を決めたものの、渡辺前監督が、そのセンバツの開幕前日に亡くなっている。

 2009年と甲子園に出場すると、2011年には今の東哲平監督が31歳で就任してそこから一気に強くなる。2010年にの選抜はベスト8、そして2013年春、2014年夏はベスト4、そして2015年、ついに頂点に立った。

 渡辺監督は、福井商業が甲子園出場の常連となっていたもののなかなか甲子園で結果が出なかった事が悔しかったという。福井、そして北陸のチームが甲子園で優勝する力があることを示すため、敦賀気比高校の監督になった。そして福井県の高校野球はその福井商業や、福井工大福井などが甲子園でも結果を残す強豪となっていった。そして1997年に敦賀気比で甲子園を経験した東監督が渡辺監督の意思を継ぎ、ついに福井、北陸勢初の全国制覇を成し遂げた。

 

強豪チーム

 最近の敦賀気比高校は、毎年のようにプロ野球のスカウトが注目するような選手を複数かかえて甲子園に出てくるチームだった。青山学院大に進んだ吉田正尚選手は今年4年生として、大学生野手の注目選手に名前が挙がり、他にも大学に進んだ強打の野手、投手がたくさんいる。

 今年のチームも、エースの平沼翔太選手や選手宣誓をした主将の篠原涼選手も注目選手の一人だった。平沼投手は大会屈すの右腕で、昨年ベスト4の経験もあり、4番打者としてもプロが注目するほどの選手だった。それでも例年に比べるとおとなしいチームにも見えたが、歴代の強力打線を擁したチームの成績を上回り頂点に立った。

 また、北陸地区の盛り上がりも優勝に貢献している。星稜、日本文理、そして富山商などに有力選手がそろい、昨年の北陸地区の大会にはプロ野球のスカウトが集結した。昨夏の甲子園では敦賀気比がベスト4、日本文理がベスト8、星稜と富山商は3回戦で敗退も、森田駿哉投手や岩下大輝投手などが輝きを見せていた。地域の盛り上がりが地区大会のレベルを上げ、甲子園で戦っているのと同じくらいの試合を経験したことが、敦賀気比の優勝につながった。

 

敦賀気比の時代を築けるか

 今年は組み合わせ的に決して恵まれたものではなかった。1回戦は好投手の坂口投手がいる奈良大付と対戦し3-0で勝利、そして2回戦は秋のチャンピオンで優勝候補筆頭の仙台育英と対戦、佐藤世那投手との投げ合いを制し2-1で勝利する。

 準々決勝も東海チャンピオンで猛打の静岡高校と対戦、4-3で辛くも勝利すると、準決勝は昨夏の覇者で昨夏に大量失点して敗れている大阪桐蔭との対戦となった。しかしこの試合で控えだった松本選手が満塁弾2発という離れ業で11-0で勝利すると、決勝で勢いのある東海大四にも接戦の末3-1で勝利した。楽な試合は1つもなかった。

 投手、野手のバランスが良く、守備も鍛えられている。東監督はまだ34歳の青年監督で、高校野球の次世代を担う監督になりそうだ。しかし、すでに各地で春季大会が始まっている。夏に向けてすでに動き始めている。今度は多くの高校が敦賀気比を目標にしてくる。

敦賀気比時代を興すことができるか。

(Professional baseball view 編集部)

 

関連記事

インコースを投げる投手vs打者の戦いは、日本の野球の将来を左右する

 春季高校野球関東大会では浦和学院が優勝を果たした。優勝の立役者となったのは、左投手の江口奨理投手と

記事を読む

高校野球は大阪桐蔭が優勝!夏の甲子園の勝率は8割8分、8度出場して4度優勝

 夏の高校野球が大阪桐蔭が優勝した。大阪桐蔭はこれで夏の大会は4度目の優勝で、中京大中京の7度、広島

記事を読む

【高校野球選手の進路】すぐにプロに入るか、大学・社会人を経由するか

 夏の高校野球が終わり、3年生の高校球児達は自分の将来について考える。野球推薦で大学に入学すべくセレ

記事を読む

プロ志望届例(栃木県高校野球連盟ホームページより取得)

高校生のスカウト活動は最終段階へ、プロ志望届からドラフト会議まで

 夏の高校野球大会が、甲子園で熱戦が繰り広げられています。1回戦と2回戦までの代表49校すべてが登場

記事を読む

公立高校の夏は激アツ!?

 夏の高校野球の興味の一つに、公立高校と私立高校の戦いというものがあります。私立高校では県外から選手

記事を読む

野球キャンプイン

野球による進学の季節、高校の部活体験、大学のセレクション

 甲子園では夏の高校野球に向けて、出場校の選手が練習に取り組んでいる。そして、夏の大会で敗れ去った選

記事を読む

横浜高校の渡辺監督が勇退、約半世紀の監督人生

 横浜高校の渡辺監督が今年限りで勇退するという報道がされた。70歳、昨年、同校の小倉部長が勇退したが

記事を読む

代表に集った選手たちは、何を得たのか?

 8月の甲子園終了から約2週間、侍ジャパンU18代表が集まった。約17万人の高校野球部員の中から選ば

記事を読む

選抜高校野球、注目候補の活躍はあまり見られず

 選抜高校野球大会の1回戦が、最後の登場となる東海大四vs豊橋工の試合ですべて終わった。出場32校す

記事を読む

甲子園でホームランを打つのは5000人に1人の奇跡

 夏の高校野球、今大会は既に10号ホームランが出ている。甲子園でホームランを打つ事ができるのは、全国

記事を読む



  • 解説者:日野茂氏(元横浜ベイスターズヘッドコーチ)


    解説者:石毛宏典氏(元西武ライオンズチームリーダー、オリックスブルーウェーブ監督、四国アイランドリーグ創立者)

    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」
    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」


    取材協力:元プロ野球選手が教える野球塾
    「ZEROベースボールアカデミー」
no image
桐生第一・蓼原慎仁投手が甲子園のマウンドに

ゼロベースボールアカデミーで、小学校3年から6年間、野球の練

浅村選手、炭谷捕手などFA移籍でどうなるライオンズ、石毛宏典氏が語る

今年、パリーグを10年ぶりに制覇した埼玉西武、浅村選手、山川選手、秋山

日野氏は金足農・吉田投手、石毛氏は浦和学院・渡邉投手を評価

プロ野球ドラフト会議が近づいてきた。今年も多くの選手が注目される中で、

石毛宏典が西武の戦いに「普段通りやるしかない」

10年ぶりにパリーグ優勝を飾った西武ライオンズ、かつての黄金時代のキャ

石毛宏典氏と日野茂氏が根尾選手と小園選手を評価

夏の甲子園が終わり、U18アジア大会を戦う選手たち。その中で、西武ライ

→もっと見る

PAGE TOP ↑