野手のドラフト候補がスカウトに注目されるには
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最終更新日:2015/03/11
スカウト活動
センバツに出場する野手の候補を紹介してきたが、元西武のスカウト・日野茂氏に、「野手はどんな風にすれば注目されるのか」を尋ねてみた。
常にチェックされていると思う事
まず、投手に比べて野手はチェックすることが非常に難しい。守備機会が1試合に何度も訪れる事もなく、打席も4回前後しか回ってこない。従ってスカウトは野手をチェックするにあたり、
・試合前にチェックする選手を決めておく
・プレー以外の部分もチェックする
と元西武のスカウト・日野氏は言う。
具体的には、試合前のランニングで「走る姿の素晴らしい選手」、ノックで「大きく見える選手」を見つけたら、その選手を一試合ずっと見続ける。大きく見える選手というのは、身長が大きい選手も目に留まるが、背が高くなくてもプレーが大きく見える選手がいるという。
そして試合で、今日はその野手を見る、と決めたら、他の投手や野手がチェック漏れになっても、その選手を見続ける。それは、その選手が打球を捕球するようなプレー以外でも、例えばセカンドならば、左右やライトに打球が飛んだ時の動き、ランナーが出たときの動き、打球に対する反応や姿勢などをチェックする。
また、プレーだけではなく、ベンチから出てくるときや戻る時の姿勢、時にはベンチ内の姿やネクストバッターズサークルの姿なども見るという。
という事で、野手は一試合まるまる注目されているという事になる。従ってプロに行きたいという選手は、それを意識して試合前のランニングから緊張感を持ってやるべきだろうと思う。
繰り返し見る事になる
投手は1試合見れば、ある程度、力は測れる。しかし野手は、このようにチェックをしたとしても、やはり実際のプレーも見たい。という事で、繰り返し繰り返し見る事になる。
また、例えば打球の反応や、プレー以外の動きというのは、テレビなどでは中継されない。したがって、実際にその選手を見に行かなければ分かりにくいという。
常に注目され、一挙手一投足を放映される投手に比べると、野手のスカウティングは本当に難しい。だからこそ、プロで活躍するような選手を見つけたときの嬉しさも大きいという。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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