東京オリンピック、野球の実施の課題~その2~
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野球の制度
さっそくMLBの競技運営の最高責任者であるジョー・トーリ氏が、リーグ戦の真っ只中の時期に、オリンピックへのMLB選手の派遣は難しいというようなコメントをしています。昨日に続き、東京オリンピックで野球競技を実施する時の課題について書いてみたいと思います。
7イニング制
野球の時間の短縮のために国際野球連盟などにより検討されているものですが、オリンピック委員会に屈するような形で、アメリカの野球ファンのプライドに触る事になるでしょう。
日本でも柔道が国際機関の元でさまざまなルール変更が行われ、いまや柔道は日本の手から離れ、JUDOという違うスポーツになったという意見もありますが、このように野球も国際機関によって都合のよいようにルール変更をされることに対し、アメリカは納得はしないでしょう。
MLB選手の出場はもちろん、7イニング制だったらアメリカやアメリカ圏の辞退の可能性も捨てきれません。
では7イニング制になると何が変わるのかというと、意外と大きく変わる可能性があります。
先発が5回から7回まで、8回と9回に1イニングずつリリーフというものは無くなります。例えば今は9イニングを考えて、先発、リリーフなどの役割分担を考えますが、極端に先発を重視してそろえたり、または2イニングずつを4人くらいで継投する形になるかもしれません。
また打線についても、単純に3人ずつでいくと、6回までに2順します。これまではそこから3イニングがあり、好投している先発も疲れてくるため、得点のチャンスになったのでしょうが、7イニング制ならば3巡目のチャンスは1イニングしかありません。
となると、特に短期決戦で相手がどんな投手か情報が少ない中で、相手投手のフォームや球をじっくり見る事もできないので、そうなると一発長打で得点を決める選手が有効になるかもしれません。
1番から4番までを長打力のある選手にそれ以降の打順は守備の選手を置き、打順が回ったら長打力のある代打、という事になるかもしれません。
このようにイニングを2つ短くするだけでも野球のスタイルが大きく変わる可能性があります。
監督と戦術
このように国際野球のルールはタイブレークだったり7イニング制だったり変わってゆきます。そしてこれまでの野球とは違った考え方が必要になります。となるとこれまでの戦い方やデータでは計り知れない物となり、監督やコーチも当然経験は少ないでしょうから、どのようにその経験を積めばよいかという事になります。
またこれは日本の課題ですが、侍ジャパンという組織を作り、代表に小久保監督を選びました。前回のWBCで、責任が重い監督を現役監督に要請したものの断られ続け、最終的に山本監督になった経緯があり、意気込みのある小久保氏を監督としました。
昨年は台湾と、今年も日米野球で経験を積みましたが、経験を積むのは年間でも数試合となります。監督としての試合数の多い試合勘のある現役監督のほうが良いという意見もあれば、今後7イニング制やタイブレークを経験して戦い方を知っている監督のほうが良いという意見もでるでしょう。
次回WBCはまでは小久保監督が務めますが、その後、どのようにしていくのかはまだ課題となりそうです。
つづく
(Professional baseball view 編集部)
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