2014年の社会人野球シーンを振り返る
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社会人野球
2014年の高校野球、大学野球を振り返りをしました。今日は2014年の社会人野球シーンを振り返ります。
今年の社会人野球を振り返る
スポニチ大会など春の大会
3月の寒い時期に行われる社会人野球東京大会は、前年秋の日本選手権で優勝した新日鐵住金かずさマジック、ベスト4の東京ガス、前年都市対抗優勝のJX-ENEOSなどが参加して行われた。決勝トーナメントに進んだ4チームは、JFE東日本、日本製紙石巻、日本通運、三菱自動車岡﨑と、前年からの様変わりを印象付けた。
日本製紙石巻は準決勝でも伊東亮介選手のホームランなどの活躍で勝ち上がり決勝に進出したが、決勝は8-0でJFE東日本が制した。
社会人野球は地区でリーグ戦もあるものの、基本的には各地で行われるリーグ&トーナメントで優勝を争う。その中で優勝したチームが日本選手権の出場権を得られる大会がある。その各大会の優勝チームは以下の通り。
大会名 | 月日 | 優勝チーム |
JABA静岡大会 | 4月2日~ | 鷺宮製作所 |
JABA四国大会 | 4月4日~ | 東邦ガス |
JABA日立市長杯 | 4月10日~ | JR東日本 |
JABA長野市長旗争奪 | 4月11日~ | パナソニック |
JABA岡山大会 | 4月18日~ | 三菱重工広島 |
JABA京都大会 | 4月28日~ | NTT西日本 |
JABAベーブルース杯 | 5月2日~ | 東邦ガス |
JABA九州大会 | 5月7日~ | Honda |
JABA東北大会 | 5月8日~ | JR東日本東北 |
JABA北海道大会 | 6月23日~ | NTT東日本 |
前年都市対抗優勝のJX-ENEOSは優勝できず、都市対抗、日本選手権予選も勝てずに日本選手権出場を逃している。JR東日本東北、三菱重工広島といったチームも優勝を飾り、日本選手権出場を決めた。
選手では昨年都市対抗で好投し、社会人NO1投手と評価を受けたNTT東日本の高木伴投手が春から調子が上がらずに、コントロールを乱して苦しんだ。その他の選手もこの時点では名前が挙がってこず、吉田一将投手、石川歩投手、東明大貴投手、浦野博司投手がドラフト会議で注目となったような事は今年はないだろうと予想され始めた。
都市対抗
都市対抗は社会人野球において最も華やかで注目される大会で、高校野球の夏の甲子園大会に該当する。各地区で予選が行われ、前年優勝で2連覇中のJX-ENEOSも含めた34チームがそろって行われた。
大会ではJX-ENEOSが奇跡とも言える終盤の逆転劇で3試合で1点差ゲームを勝ち上がりベスト4へ進出、その他、西濃運輸、富士重工、NTT東日本が勝ち上がった。西濃運輸はチームの大ベテラン・佐伯尚治選手とトヨタ自動車から補強したベテランの佐竹功年投手の活躍で勝ち上がり、富士重工はルーキーの小野和博投手と新日鐵住金鹿島から補強の石崎剛投手の活躍で、NTT東日本もルーキーの横山弘樹投手が不調の高木伴投手に代わるエースの活躍で勝ち上がった。
決勝は西濃運輸と富士重工の対戦となり、西濃運輸が優勝を収めた。
準優勝となったものの、富士重工の補強選手として活躍した石崎剛投手は、150キロの速球を投げストレート一本で好投を見せ、また初戦で敗退したが全足利クラブに補強選手として出場した同じく新日鐵住金鹿島の横山雄哉投手が、打者1回2/3を投げて1四球5奪三振の快投を見せた。また三菱日立パワーシステムズ横浜の野村亮介投手、福地元春投手も持ち味を発揮していた。
侍ジャパン社会人代表
今年は侍ジャパンが活動1年目とあり各世代がそれぞれの大会に挑む。その中で侍ジャパン社会人代表は日本を代表して韓国で行われたアジア大会に参加した。JR東日本のルーキー、関谷亮太投手やセガサミーのルーキー・横田哲投手、新日鐵住金鹿島の加藤貴之投手など若いながら実力派の投手と、倉本寿彦選手(日本新薬)、遠藤一星選手(東京ガス)、西野真弘選手(JR東日本)など屈指の内野陣、それに伊東亮介選手(日本製紙石巻)やベテランの林稔幸選手(富士重工)、松本晃選手(JR東日本)で挑んだアジア大会だったが、中国、パキスタン、モンゴルといったチームには対象したものの、プロ選手中心の台湾に敗れて3位となった。
韓国はプロのドリームチームを揃えて優勝を果たしたが、そのチームと戦う所まで行けずに実力を思い知らされた。
ドラフト、そして日本選手権
社会人野球の最後の大会、日本選手権は11月1日から行われ、10月23日のドラフト会議後となる。各地でその予選が行われ、またプロ側も社会人投手の実力を測ろうとプロアマ交流戦を盛んに行った。そして、三菱日立パワーシステムズ横浜の野村亮介投手が中日から1位指名を受けると、ヤマハの竹下真吾投手が東京ヤクルトから、新日鐵住金鹿島の横山雄哉投手が阪神から、それぞれ外れ1位指名を受けた。昨年の5人(千葉ロッテ・石川歩、オリックス・吉田一将、巨人・小林誠司、横浜DeNA・柿田裕太、福岡ソフトバンク・加冶屋蓮)には及ばなかったものの、社会人野球の面目を保った。
ドラフト会議で指名された選手、志望をしたものの指名されなかった選手、自ら残留を選んだ選手、そして来年のドラフト候補となる選手、それぞれの想いがぶつかった日本選手権大会が開幕する。
準決勝にはトヨタ自動車、パナソニック、日本生命、セガサミーと、都市対抗とは違った名門チームといった顔触れが勝ち残り、トヨタ自動車が佐竹功年投手の好投で優勝を飾った。佐竹投手は都市対抗の西濃運輸に続き2冠を達成、今度は自らのチームを優勝させる最高の1年となった。
来年に向けて
社会人野球の優勝を予想するのは非常に難しい。しかし、日本選手権で優勝したトヨタ自動車はここの所力を発揮できずに都市対抗で予選落ちするなど低迷していたが、佐竹投手と来年2年目となる左腕の清水翔太投手の活躍が期待される。またNTT東日本の横山弘樹投手や、日本選手権でチームを準優勝に導いたルーキーの横田哲投手も大学時代から注目されており、横田投手は上武大時代も大学野球選手権でチームを優勝させている優勝請負人である。
ドラフト会議ではJR東日本の関谷亮太投手に注目が集まりそうだが、日本選手権では状態が悪く来年に不安を残した。また日本生命に進んだ上西主起選手も状態が良くなく日本選手権で出場しなかったが、今年広島カープからドラフト1位で指名された野間峻祥選手よりも肩の強さと長打力で上回る選手で、注目されるだろう。
また新日鐵住金かずさマジックで昨年の日本選手権で優勝し、今年ドラフト上位指名確実と言われた加藤貴之投手は自らチーム残留を選択した。来年こそプロ入りを望むのか、それともミスター社会人としていくのか、秋ごろには再び進路に注目が集まりそうだ。
来年の春、再び社会人野球の花が咲く。大学で活躍した選手を迎えて。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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