【ドラフト会議特集11】選手を獲得したときのスカウトの気持ちは?
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最終更新日:2014/10/31
スカウト活動
いよいよドラフト会議まであと2日となった。選手にとっても運命の日だが、スカウトにとっても1年間、またはそれ以上追い続けてきた選手を獲得できるか、という大切な1日である。この日をスカウトはどんな気持ちで迎えるのか、元プロ野球スカウトの日野氏に聞いてみた。
希望の選手を獲得した時は?
元プロ野球スカウトの日野氏に、ズバリ聞いてみた。「自分が追い続けてきた選手を、獲得できたときはどんな気持ちですか?」
そうすると、意外な答えが返ってきた。
「ズシっと急に責任を感じるようになる」と話した。選手を見て、評価して、球団にプレゼンをする。1年にドラフトで指名できるのは多くても10人くらいの貴重な枠を使っている。それがドラフト1位などではなおさら貴重なものだ。球団の保有選手はたったの70人で、その中の一人を自分の評価で採用することになり、当然それによって解雇される選手もいる。
責任は球団へのものだけでない。獲得した選手に対しても、球団のことを説明し、しっかり育てると言って獲得をする。その選手や家族、関係者の人生を背負うことになる。プロの世界は厳しい。獲得しても3年くらいで辞めていく選手も少なくない。
追いかけているときは「獲得したい、獲得したい」と思うのだが、いざ獲得すると喜んでばかりいられない。スカウトはその選手が2月にキャンプインに順調に入れるように、いろいろと準備をし始める。
選手への思いは?
獲得した選手へは何を思うのだろう。日野氏は「長くやってくれよ、というのが大きい」。
もちろん新人王を獲ったり、チームのエースやレギュラーになってほしい気持ちはあるのだが、まずは長くプロの世界でやって、悔いのない野球人生にしてほしい、という事のようだ。
ファンは獲得できた選手の来年や将来の活躍を夢見るが、スカウトはやはり当事者として、非常に現実的な感じになるのがわかる。
一番うれしいのは?
選手を追い続け、獲得したらうれしいよりも責任を感じ、そしてまた来年の選手を見に向う。これではスカウトの仕事というのは大変な事としか感じられない。
それではうれしい時はどんな時なのだろう。
「1軍で選手が活躍をした時」と日野氏ははっきりと答えた。自分が見て獲得した選手が、テレビやスタジアムで活躍する姿を見て、また来年もこういう選手を獲得しようと歩いていく。これがスカウト冥利というものだろう。
ドラフト会議まであと2日、今年もまた、スカウトが責任を感じる日がやってくる。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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