*

チーム編成トップの役割

公開日: : プロ野球

 プロ野球でチームを強くするために、また運営するために重要な役割を持つフロント、その中でチーム編成の責任者である編成部長やGMの役割を日野茂氏に聞いた。

編成部門の仕事

 以前にも書いたことがあるが、日野茂氏は球団買収で騒動となったライブドアの編成部門として声がかかっていたことがある(ライブドアによる買収の話は無くなり、代わりに楽天球団となった)。

 編成の役割としては、選手の補強(ドラフト会議、トレード、FA,外国人)、監督・コーチなどスタッフ人事、他球団の戦力分析、選手やコーチの査定や年俸調整などの仕事がある。

 その中でとりわけ目立ち重要な役割なのが選手の補強となるが、最も重要なのは、チームの補強方針を示すことになる。

 

補強方針を示す

 まずはチームの方向性という大きな方針がある。投手を中心とした守って勝つチームなのか、走力を使ったチームなのか、打撃のチームなのか。ただし偏りすぎてもいけない。チームのバランスも考慮し、戦力を分析した上で優勝できるチームにするには何が必要かを示す。

 特にこの時期になると、FAの資格を持つ選手の動向だったり、ドラフト会議の動向が見えるようになってくる。

 アマチュア選手のスカウトもプロ選手のスカウトも、その方針によるターゲットを探しリストアップする。そして獲得の可能性などの情報をこまめに情報共有し、FA、トレード、ドラフト、外国人などのチャンネルでバランスをとっていく。

 

編成トップの重要性

 スカウトなどにとって、チームの方針が明確になっていれば、ターゲットを絞って仕事ができる。その役割を担うGMや編成部長の役割や重要になる。

 日野氏によると、「トレードやFAでどの選手が取れそうという情報を元に、ドラフトではそれ以外の補強ポイントで選手を指名するといった事もある。」と話す。ドラフト会議もトレードやFAも、その選手が確実に獲得できるという事はわからない。特にドラフト会議は10月下旬、FAは11月から12月が中心となる。また外国人の獲得やトレードはそのあとになる。

 特にチーム作りの基盤となるドラフト会議は、FAやトレードとは分けて考えるチームもあるようだが、多くはやはり連動していくようだ。GMや編成トップは、ドラフトではどのポイントを、FAやトレードではどのポイントを補強する、という事を明確にできれば、プロ・アマのスカウトも動きやすくなる。

 編成トップの方針が不明確で、たとえばFAで取れそうな選手が獲得できるのかわからない状態だと、ドラフトでも方針がバラバラになってしまう事もある。

 

チームの長期的編成

 もちろん、編成は来年だけを見たものではない。日本の場合は1回のドラフト会議で指名する選手も少なく、特に長期的な視点をもって指名をしていく必要がある。

 下位に長年低迷しているチームなどは、来年急に強くするには、できたとしても資金がかかったりする。3年を目安に優勝できるチームにしようとすると、4番を打つ選手を育て、エースを育てという事になる。

 上位にいるチームだって、翌年以降も上位の位置をキープしなければならない。短期的にFAや外国人を獲得していても、次の世代の4番やエースがいなければ、長続きせず低迷期へと入ってしまう。来年のチームの上乗せ、そして将来、そのバランスをとるのは非常に難しい。

 

 いずれにしてもチーム編成トップの役割と重要性は大きい。GMへ編成部門トップの人事のニュースが出てきているが、どんな人が編成のトップに立つのか、監督人事とともに楽しみにしたい点である。

(記事:Professional-view Baseball 編集部)

 

関連記事

器用だけど不器用だった「秋山幸二選手」はメジャーを狙えたか?

 福岡ソフトバンクの秋山幸二監督、2011年には日本一の監督になったが、選手時代も西武ライオンズで主

記事を読む

石毛宏典氏が2016年シーズンを振り返る:パリーグ編

2016年のシーズンについて、元西武ライオンズの石毛宏典氏に振り返ってもらった。今日はパリーグ編。

記事を読む

西武ライオンズはこれから上がっていく、石毛宏典氏が話す

西武ホールディングスの株主総会が行われ、西武ライオンズについて株主より厳しい意見が出たようだ。元西武

記事を読む

出場選手登録・抹消からチーム状況を見る、パシフィックリーグ

 プロ野球は3月28日に開幕し3週間が経過しました。パシフィックリーグは4月21日終了時点で、福岡ソ

記事を読む

中畑清監督について、駒大の後輩・石毛宏典氏が語る

横浜DeNAの監督を4年間務めた中畑清監督が、前半は首位だったものの後半失速し、最下位に沈んだことを

記事を読む

左打者には左投手?確実性を上げるために逆方向を狙う?野球の常識とは

日本の野球で常識と考えられている事について、元西武ライオンズの石毛宏典氏に聞いた。 夏の甲子園で北

記事を読む

東北楽天の快進撃と千葉ロッテの低迷を分析する

2017年のパリーグは、5月10日終了時で東北楽天が貯金12をもって首位を走る。逆に千葉ロッテはチー

記事を読む

松坂大輔が帰ってくる!その1

 日本の野球に松坂大輔が帰ってくる。松坂大輔投手の活躍を振り返る。 高校2年から急成長  松坂大

記事を読む

期待が不安を上回る、3月を楽しもう!

 いよいよ3月に入る。日本の場合、多くの物事の1年間の活動が3月で終わり、4月から新しい1年が始まる

記事を読む

セ・パ交流戦が始まる!

明日、5月20日からセ・パ交流戦が始まる。2005年から始まった交流戦は今年で10年を迎える記念すべ

記事を読む



  • 解説者:日野茂氏(元横浜ベイスターズヘッドコーチ)


    解説者:石毛宏典氏(元西武ライオンズチームリーダー、オリックスブルーウェーブ監督、四国アイランドリーグ創立者)

    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」
    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」


    取材協力:元プロ野球選手が教える野球塾
    「ZEROベースボールアカデミー」
浅村選手、炭谷捕手などFA移籍でどうなるライオンズ、石毛宏典氏が語る

今年、パリーグを10年ぶりに制覇した埼玉西武、浅村選手、山川選手、秋山

日野氏は金足農・吉田投手、石毛氏は浦和学院・渡邉投手を評価

プロ野球ドラフト会議が近づいてきた。今年も多くの選手が注目される中で、

石毛宏典が西武の戦いに「普段通りやるしかない」

10年ぶりにパリーグ優勝を飾った西武ライオンズ、かつての黄金時代のキャ

石毛宏典氏と日野茂氏が根尾選手と小園選手を評価

夏の甲子園が終わり、U18アジア大会を戦う選手たち。その中で、西武ライ

盗塁:バッテリーとランナーの3.3秒の攻防

盗塁は、日本の野球に置いて、チャンスを広げ、得点を挙げるために重視され

→もっと見る

PAGE TOP ↑