【ドラフト会議特集1】ドラフト会議までに何を決めておくのか?スカウト会議で行う事
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最終更新日:2014/10/02
スカウト活動
いよいよドラフト会議まであと1か月となりました。今年は「確実にドラフト1位で行ける」と言える選手がなかなかおらず、各球団も血眼になって上位候補の視察に訪れているようです。1か月後に迫ったドラフト会議までに、球団はどんなことを決めておくのでしょうか?西武でスカウトをしていた日野茂氏に話を聞きました。
ランクは4段階
この話は日野氏がスカウトや編成をしていた時のもので、現在は変わっているかもしれません。
まずドラフトで指名する選手のリストと順位づけは大体終わっている事が多く、年によってリストアップされている選手は違ってくる。40人前後というところのようだ。
そして、その候補者をSランク~Cランクに分け、そのランクの中でも順位づけをしておく。
- Sランク 絶対に欲しい選手 4人程度
- Aランク ほしい選手(2位で獲得を想定) 10人程度
- Bランク 可能性のある選手(足が速い、打球を遠くに飛ばすなど一芸がある)
- Cランク 可能性のある選手の中で下位レベル
このうち、Sランクの中から最初(ドラフト1位)に指名する選手を決め、抽選などで獲得ができなかったら、Sランクの選手を順番に指名していく。
そして指名の可能性のある選手には、ドラフト会議前に連絡を入れておく。
他球団の状況
候補選手のチーム関係者や親族などから、他球団の情報が入る事がある。また新聞などの情報から他球団の指名候補者を探っていく。そしてドラフト会議の前日や当日のスカウト会議では、12球団の指名シミュレーションをしておく。
難しいドラフト2位、3位
各球団ともドラフト2位、3位までは本当に欲しい選手を指名したい。したがって2位での指名に駆け引きが行われることが多い。
指名のランキングでいくとSランクに挙げた選手はすでに指名されていることが多く、Aランク、Bランクの選手を見る事になるが、「このあたりは順番が難しくなってくる」と日野氏は話す。他球団の状況やドラフト1位で獲得した選手により柔軟に指名選手を変えるようだ。1位で野手を獲得したら2位ではBランクの投手を獲得したりすることもあれば、他球団が1位で想定外の選手を指名したときに、「2位でこの選手を指名するかもしれない」と、Bランクの選手を繰り上げる事があるという。
したがって、「2位と3位の指名は順位が逆になることは多い」と日野氏は話す。
以降はドラフト会議の下位は順位に従って指名し、予定した人数でドラフト会議の指名を終える。
基本的にはスカウト会議参加者の総意で決まる
ではSランクの中から誰を1位指名するのかをどうやって決めるのだろうか? 日野氏は「基本的にはスカウト会議の参加者の総意で決まる」と話す。全スカウトが納得の1位指名候補となる。ただし、球団や年度によっては「人気を買う事もある」と話す。甲子園や神宮で活躍した選手が優先されることがある。
これについて日野氏に、「スカウトは実力のある選手が欲しいのか、人気のある選手が欲しいのか」と聞くと、「当然、実力のある選手を指名したい」と話す。ただし球団は経営されているもので、経営者の判断は理解をしているという。
10月23日のドラフト会議まで1か月、ドラフト会議までの内側の話などを特集して参ります。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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