*

高校野球、エラーで負けてしまった選手たちへのメッセージ

公開日: : 高校野球

 夏の高校野球大会、甲子園では49校による48試合が行われ、そのうちサヨナラで試合が終わったのは5試合だった。全国では3917校が戦い、その中でサヨナラの試合もたくさんあっただろう。

 市和歌山と鹿屋中央の試合の幕切れ、市和歌山のセカンド・山根翔希選手が1アウト1塁3塁の場面でファーストに送球をしてしまったプレーが印象に残っている。

プレーについて

 エラーで負けた時の辛さは、経験をした人しかわからない。簡単に例えることもできない。山根選手は和歌山大会から再三の好プレーを見せてチームを救ってきた。そしてあの場面を迎える。延長12回で1-1、その裏に1アウト1塁、3塁となった。守備側としてはバックホームしてもタッチプレーとなり、併殺も狙えるなど様々な選択肢があり、難しい場面だった。

 市和歌山は前進守備を取りバックホームを選択する。そしてセカンドへの弱くないゴロを打たせた。しかし山根選手の前でバウンドが変わり、難しい体勢での捕球となってしまった。体勢を持ち直して送球をしたがホームではなく一塁に送球をした。

 試合後に山根選手は「ゴロが変化して頭の中が真っ白になった」と話している。バックホームではタッチプレーという焦り、ゴロが変化した焦り、難しい体勢となった焦りで反射的に動いてしまったのだろう。

 

エラーで負ける

 その後、山根選手た立ち上がれない程、号泣をしていた。せっかく出場した甲子園で、延長12回の接戦をしていた。そしてこれが高校3年間の最後のプレーになってしまった。山根選手だけではない、全国で行われた試合でも、エラーをしてしまい敗れたチームもあるだろう。エラーをしてしまった選手は辛い思いをしているのだろう。

 でも、例えば松坂大輔投手は、横浜高校の2年生の夏にサヨナラ暴投で敗れている。3年生の甲子園出場を自らの暴投で消してしまい号泣していた。そしてこの試合が、秋季大会、明治神宮大会、選抜大会、夏の甲子園、国体まで無敗を続けた横浜高校の始まりとなり、怪物・松坂大輔が誕生した。

 昨年ドラフト1位で北海道日本ハムに入団した渡辺諒選手は、昨年夏の準決勝で遊撃手としてプレーし、7-5とリードした場面でトンネル、併殺を狙って悪送球で同点に追いつかれると、そのリリーフでマウンドに登って暴投、捕球のエラーで逆転で敗れている。

 どんなに凄い選手だってエラーはあるし、大きな場面でエラーすることだってある。

 

プレーを続けて!

 千葉県立船橋高校から中央大学、そして松下電器を経て中日ドラゴンズでプレーした日野茂氏は、一つの話をしてくれた。

 「高校の野球部の同窓会に行くと、先輩にいまだにエラーのことを言われる」らしい。そのプレーとは記憶は定かではないが、日野さんが高校1年生の時に出場した春季千葉大会決勝のことと思われる。強豪の銚子商を相手に8回まで1-0で進んだ9回、日野さんはショートでトンネルをし、それがきっかけで3点を失い敗れた。

 しかし日野さんは、そのプレーを「まったく記憶にない」という。相当なショックで覚えていないのか、「気にしない人」ではあるので気にしないで忘れてしまったのか。その答えはその後の野球人生にある。

 その後も高校でプレーし、大学、社会人、プロでプレーしてきた日野さんは、数多くのプレーをし悔しいプレーもしたはずだ。それだけの野球の経験があるから、あのエラーを忘れてしまったのだろう。

 そのエラーで野球をやめてしまっては、そのプレーが大きく残ってしまう。人によっては年をとってもその話ができない人もようだ。でも、できればエラーで敗れてしまった選手はこれからも野球を続けてほしい。そしてそのプレーが数多くのプレーの中の一つになるように、そして年を取ってから同窓会で笑い話にできるように。

(記事:Professional-view Baseball 編集部)

関連記事

【高校野球選手の進路】すぐにプロに入るか、大学・社会人を経由するか

 夏の高校野球が終わり、3年生の高校球児達は自分の将来について考える。野球推薦で大学に入学すべくセレ

記事を読む

高校野球選手の進路とトレンド

 高校野球選手の進路、有力な選手は昨年の段階で大学に推薦が決まっていたり、社会人への内定が決まってい

記事を読む

横浜高校の渡辺監督が勇退、約半世紀の監督人生

 横浜高校の渡辺監督が今年限りで勇退するという報道がされた。70歳、昨年、同校の小倉部長が勇退したが

記事を読む

元西武の日野スカウト、甲子園に出場した投手について語る

 元西武でスカウトとして活躍した日野茂氏が、8月22日のテレビ朝日「週刊ニュースリーダー」で、甲子園

記事を読む

野球キャンプイン

野球による進学の季節、高校の部活体験、大学のセレクション

 甲子園では夏の高校野球に向けて、出場校の選手が練習に取り組んでいる。そして、夏の大会で敗れ去った選

記事を読む

石毛宏典氏の高校野球への提言

8月が終わり、高校野球は新チームの戦いが始まっている。この夏も各地で、甲子園で多くの選手がプレーした

記事を読む

【高校野球】レギュラーをめぐる戦いがスタート

 夏の高校野球大会が8月25日にやや遅めに幕を閉じて1週間と少し、高校野球はその大会中からすでに、来

記事を読む

高校野球の名将の引退

 昨日、高校野球の佐賀大会では佐賀北高校が佐賀工業を下して甲子園出場を決めた。佐賀北の百崎監督は20

記事を読む

あさって開幕、選抜高校野球大会の注目ポイント

 いよいよ明後日、日曜日に開幕を迎えた選抜高校野球大会、大会が始まると「いよいよ今年も野球シーズン到

記事を読む

高校野球は練習方法を変えれば、まだまだ上手くなる(1)

昨年、高校野球100年という事で、沢山のイベントが行われ、夏の甲子園も大いに盛り上がった。とても長い

記事を読む



  • 解説者:日野茂氏(元横浜ベイスターズヘッドコーチ)


    解説者:石毛宏典氏(元西武ライオンズチームリーダー、オリックスブルーウェーブ監督、四国アイランドリーグ創立者)

    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」
    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」


    取材協力:元プロ野球選手が教える野球塾
    「ZEROベースボールアカデミー」
no image
桐生第一・蓼原慎仁投手が甲子園のマウンドに

ゼロベースボールアカデミーで、小学校3年から6年間、野球の練

浅村選手、炭谷捕手などFA移籍でどうなるライオンズ、石毛宏典氏が語る

今年、パリーグを10年ぶりに制覇した埼玉西武、浅村選手、山川選手、秋山

日野氏は金足農・吉田投手、石毛氏は浦和学院・渡邉投手を評価

プロ野球ドラフト会議が近づいてきた。今年も多くの選手が注目される中で、

石毛宏典が西武の戦いに「普段通りやるしかない」

10年ぶりにパリーグ優勝を飾った西武ライオンズ、かつての黄金時代のキャ

石毛宏典氏と日野茂氏が根尾選手と小園選手を評価

夏の甲子園が終わり、U18アジア大会を戦う選手たち。その中で、西武ライ

→もっと見る

PAGE TOP ↑