都市対抗橋戸賞の西濃運輸・佐伯尚治投手、プロが獲る可能性はあると元スカウトが評価
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社会人野球
今年の都市対抗は大垣市の西濃運輸が優勝した。決勝の富士重工戦で完封した佐伯尚治投手は31歳のベテランだが、元プロスカウトの日野茂氏に評価をお願いした。
社会人9年目のベテラン
佐伯尚治投手は社会人9年目、九産大九州から九産大を経て西濃運輸に入社している。大学時代から130キロ台のストレートで好投を続け大学4年秋には福岡六大学リーグの最優秀投手賞に輝いた。ドラフト候補として名前も挙がっていたが西濃運輸に入り、そこから9年間プレーしてきた。
そして今年、チームは優勝し佐伯投手は橋戸賞を獲得した。長年の努力が実を結んだ。
31歳でもプロが獲る可能性あり
今年で31歳となる佐伯投手、ドラフト会議で指名されればおそらく最高年齢になる。普通ならば年齢を考えると指名は難しいと考えるが、元西武のスカウトだった日野茂氏は「この投げ方でプロで5年はできると判断すれば獲る」と話した。
例えば高校生や大学生を獲っても5年間で戦力外になる選手はいる。そう考えると、31歳から36歳まで5年間プレーし即戦力でやれるならば、一緒かそれ以上と考えるそうだ。
そのコメントをもらう前に佐伯選手の映像を見てもらい、フォームなどのチェックをしてもらった。日野氏は「ひじの位置が良く、見づらいフォームになっている」と話した。ひじの位置が肩よりも上に上がらない点をチェックしていた。
そして、「左バッターのほうが打ちづらいフォーム」ではないかと指摘した。通常は右ピッチャーに対しては左バッターのほうが良いとされ、プロ野球でも右ピッチャーに対して左の代打を送ったりする。しかし佐伯投手は腕の見づらさがポイントで、しかもややインステップして投げるため「左バッターだと完全に腕が隠れて見えるのではないか」と話した。
そして、元のフォームは分からないが、社会人の長い経験で磨かれたフォームなのだろうと感想を話した。
ストレートの威力で勝負する投手は年齢が増えると力は徐々に衰える事が多い。しかし佐伯投手はストレートは130キロ前半でありコントロールとフォームで勝負する投手である。従って今からプロに入っても5年間はプレーできるのではないかと日野氏は考えている。そして、31歳でも獲る可能性があると評価した。
最近はプロに入ったが戦力外となり、元の社会人チームに戻ってプレーする事もできるようになったし、アマチュアの指導者の資格を回復することもできる。可能性のある選手はプロに挑戦する環境が整ってきているといえ、今後、佐伯投手のようなベテラン投手や特徴のある選手がプロに挑戦する機会は増えるのではないかと思う。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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