高校野球の名将の引退
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高校野球
昨日、高校野球の佐賀大会では佐賀北高校が佐賀工業を下して甲子園出場を決めた。佐賀北の百崎監督は2007年に甲子園で優勝をした監督だが、その恩師というのが佐賀工業の吉丸監督だった。その吉丸監督は27年間佐賀工業を率いたが、来春定年を迎えるためこの試合が最後の夏となった。
名将の引退
吉丸監督と百崎監督は、佐賀東高校で吉丸監督、百崎部長のコンビで甲子園出場を決めている。その恩師との最後の戦いを制し甲子園出場を決めた百崎監督は、「感無量でした」と涙を流して語った。
部長、監督の名コンビといえば、横浜高校も渡辺監督・小倉部長のコンビで、横浜高校を何度も甲子園に導き、全国制覇も成し遂げた。その小倉部長もこの夏を最後に指導者を引退すると表明している。
ほかにも拓大紅陵を33年間率いてきた小枝守監督、東北高校や九州国際大付などで、ダルビッシュ有投手など多くの選手を育ててきた若生正広監督もこの夏で退任を決めている。
ちなみに大学でも1979年から九州共立大を率いて、全国常連の強豪校にした仲里清監督もこの春に退任をしている。
監督とともに
高校野球の栄枯盛衰は、監督とともにあることが多い。取手二で甲子園で優勝した木内監督が常総学院を強豪チームにしたり、名将と呼ばれる監督が、移った先を強豪校にするケースも少なくない。今の時代において甲子園出場には、ノウハウが必要なのかもしれない。
では名将と呼ばれる監督は何を持っているのだろうか。
まずは指導力がある。選手を叱咤し厳しい練習スタイルがあれば、練習で様々なアイディアを出して選手を鍛えていく監督もいる。毎年のように好投手を育てる監督もいれば、打撃のチームを作ってくる監督もいるが、それぞれが自信の経験から信じたやり方を持っており、自信をもって指導をすることから、選手も迷いがない。
次に、名声がある。やはり名将の名を聞けば、それをしたって入学してくる選手も多いだろう。鍛治舎巧監督が秀岳館高校に就任したが、もともと率いていた中学生チームの選手以外にも多くの選手が集まったと聞く。その監督の実績が、名将をさらに名将にしていく。
最後にコネクションがある。教え子やOBが大学野球で活躍したり、プロ野球で活躍すればそのコネクションが広がり、大学への進学が有利になったりすることもある。また、高校には指導や練習を手伝うコーチなどのスタッフが必要だったりするが、良いコーチを呼ぶことができる。さらには練習試合でも力のある高校と対戦することができたりもする。
経験や指導期間などによるものは、若い監督には難しい所もある。
世代交代
常総学院の木内監督は、一度、藤代高校で甲子園出場をした持丸監督を後任に指名して総監督となったが再び監督に戻った。そして2011年に今度は教え子で長年常総学院でコーチをしていた佐々木力監督を後任にし勇退している。自分の指導方法やコネクションを後継者に伝えた形となった。
九州国際大付はこの秋から西武ライオンズでコーチや編成を担当した楠城徹監督が就任する。こちらは退任する若生監督と同い年の63歳、世代交代という感じではないが、元プロ野球選手として、プロ野球の指導者としての経験が期待されている。
世代交代といえば、センバツに出場した駒大苫小牧の佐々木孝介監督はまだ27歳、全国制覇としたときの主将が監督としても力を見せ始めている。
時代を作る
時代を作った名将がいる。横浜高校の渡辺元智監督は69歳、智弁和歌山の高嶋仁監督は68歳。帝京の前田光夫監督は65歳、その次の世代では明徳義塾の馬淵史郎監督は58歳、日大三の小倉全由監督が57歳、浦和学院の森士監督が50歳、大阪桐蔭の西谷浩一監督は44歳。
各世代の名将が鎬を削るのも高校野球の魅力だろう。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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