野球の魅力 ~人vs人の世界~
公開日:
:
プロ野球
野球の魅力の一つに、チーム競技でありながら個人競技の魅力を持つ点があります。そしてそれは、「誰にも邪魔されない人対人の1対1の世界」を作り、多くの名勝負を生み出します。
団体競技であり個人競技
サッカーでは、チーム内でポジションで1対1の対戦があったりしますが、例えば本田vs誰々、長友vs誰々、が注目されることは少ないと思います。それはサッカーが1対1よりは全体で戦うチーム競技だからであり、「メッシvsネイマール」のようにエースの対決がクローズアップされたとしても、メッシとネイマールが試合の中で直接対決する場面はあまりありません。
チーム競技の多くはこういう形ですが、野球の場合は試合時間の多くの時間をピッチャーvsバッターの個人vs個人の対決が占めます。そのため相手のエースとチームの中心打者の直接対決がクローズアップされます。
多くの名勝負
それは多くの名勝負を生みました。王vs江夏、清原vs野茂、清原vs伊良部、イチローvs松坂。お互いが相手を「抑えよう」「打とう」と準備し、多くても10球程度の1打席1打席で対戦します。ファンはチーム同士の勝敗とともに、ピッチャーvsバッターにも熱狂することができます。
そしてその対決は特に深いものになっていく事があります。横浜DeNAのエース三浦大輔投手はプロ初ホームランを当時広島カープにいた金本知憲選手に打たれました。そして2012年の10月9日、その金本選手の引退試合に三浦投手が登板します。
金本選手はプロ野球で最も多く対戦したのが三浦投手であり、三浦投手も最も多く対戦したのが金本選手でした。そしてこの試合、三浦大輔投手は初めてホームランを打たれた球であるカーブを初球に投げました。
その後は力のあるストレートを連投し続けます。金本もストレートを狙い目いっぱいのスイングを見せました。これぞ1対1の勝負の醍醐味と言えるでしょう。
1対1の魅力を大切に
しかしピッチャーvsバッターの対戦の中でもチーム競技の要素が絡みます。得点差、ランナーの状況、打順や守備の状況により、この1対1が避けられたりします。
エースvs4番の対戦でも、ランナーがいて1塁が空いていたりすると敬遠することが当然のようになりました。野球も個人vs個人より、チームの勝利のためという要素が強くなりました。高校野球でも松井秀喜選手が5敬遠されました。
また、最近ではダルビッシュ有投手、田中将大投手という名投手が居ましたが、ダルビッシュvs誰、田中vs誰、と呼べるような打者がいませんでした。
そして、松坂投手、ダルビッシュ投手、田中投手はメジャーに移籍し、三浦vs金本のような長年のライバルによる対決も見られなくなりました。
野球というスポーツが持っている1対1の魅力、これを大切にしなければなりません。
大谷翔平のストレートを完全に打ち崩すようなバッターや、2アウト2,3塁でも4番と対戦できるエースを、プロ野球、アマチュア野球が機会を奪う事なく協力して育てていく必要があります。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
関連記事
-
-
プロ野球開幕の緊張を味わいたい
プロ野球選手にとって、野球は楽しいのだろうか?率直に石毛宏典氏、日野茂氏に聞いてみた。すると・・・。
-
-
プロ野球のチーム構成を考える
1月末、いよいよキャンプインをする。プロ野球球団は大体この時点でチーム編成を終え、監督や首脳陣は今
-
-
12球団の開幕前の想定と開幕してから ~セリーグ編~
プロ野球も開幕して2週間が過ぎ、対戦カードも一巡した。各球団とも開幕前に想定した力が出せているチー
-
-
出場選手登録・抹消からチーム状況を見る、セントラルリーグ
プロ野球は3月28日に開幕し3週間が経過しました。4月17日終了時点で、セントラルリーグでは広島が
-
-
器用だけど不器用だった「秋山幸二選手」はメジャーを狙えたか?
福岡ソフトバンクの秋山幸二監督、2011年には日本一の監督になったが、選手時代も西武ライオンズで主
-
-
ソフトバンク・島袋洋奨投手、もっと自信をもっていい
ソフトバンクのドラフト5位ルーキー・島袋洋奨投手が9月25日の千葉ロッテ戦で8回に登板し、1回をノー
-
-
石毛宏典氏が2016年シーズンを振り返る:パリーグ編
2016年のシーズンについて、元西武ライオンズの石毛宏典氏に振り返ってもらった。今日はパリーグ編。
-
-
今年のルーキー世代は波乱万丈の世代
今年のプロ野球は、特にルーキーの活躍が目立っているように思える。阪神の高山俊選手(ドラフト1位)は、
-
-
プロ野球の名将のよもやま話、石毛宏典氏、日野茂氏が語る
プロ野球には名将と呼ばれる監督がいる。石毛宏典氏はプロ野球時代に根本陸夫監督、広岡達郎監督、森祇晶監
-
-
自民党へ逆提言、16球団に増やす為にこれが必要!
自由民主党の「日本再生ビジョン」に、プロ野球の球団数を、静岡、北信越、四国、沖縄などプロ野球の無い