スカウト会議で話し合われる内容は?
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スカウト活動
スカウトは今、大学生の甲子園とも呼ばれる大学野球選手権大会のために、そして高校野球の夏の予選を前に東京に集結しスカウト会議を行います。球団によっては候補選手のリストアップを続けたり、絞り込みを行ったりと、この時期で行うことはまちまちだと思いますが、スカウト会議ではどのような事が話し合われるのでしょうか?
元西武のスカウト・日野茂氏にお話を聞きました。
スカウト会議で話し合われること
日野氏がスカウトをしていた1980年前後に比べると、現在はPCやネット環境があり、映像を手軽に撮影する技術もあるため、スカウトの仕事も大きく変わっていると思いますが、それを前提としてお話をしてもらいました。
スカウトは投手、捕手、内野手、外野手とポジション別に選手のデータを手帳に書きとめ、自分の中で常にランキングをしています。他のスカウトも同じように自分の基準でランク付けを行っています。
この時期のスカウト会議では、それぞれのスカウトがリストアップしランク付けした選手の情報を交換することが目的となります。またこのころには各球団のチーム状況が明らかになってくる事もあり、球団として方針が示されることもあるようです。
基本的には編成のトップから球団の補強ポイントが伝えられ、そのポイントに条件が当てはまる選手の説明を担当スカウトが行います。基本的にこの説明で、「このポジションではこの選手が最有力指名」と優先度が決まってゆきます。
この時の説明(プレゼン)は非常に重要となります。当然相手に伝えるのが上手なスカウトのほうが良いのですが、「このスカウトがこれだけ説明するのだから評価が高いのだろう」、とお互いのスカウトを認め合って優先順位が決まってゆきます。
純粋なランク付け作業
まだ他球団の動向などの情報にはとらわれず、球団の編成の方針に合わせて純粋にランク付けをしていく段階で、単調な作業が繰り返されていくようです。
スカウトは、この時期のスカウト会議で球団の大まかな指名方針を受け、夏の高校野球の都道府県大会に飛んでゆきます。そして次に会うのは甲子園で一通りの高校が登場したあたりとなります。
スカウトにとってはまだ中盤戦、これから暑い季節となります。炎天下のスタンドで1日数試合を見たり、1日で数球場に移動したりと大変な季節となります。それでも輝く選手たちを見つける事で、その疲れも吹っ飛ぶ事になるのでしょう。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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