野球を新たなステージに持っていく選手、北海道日本ハム・大谷翔平
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注目選手
北海道日本ハムの大谷翔平投手が160キロを記録し、5回まで10奪三振という投球を披露した。速球は常に150キロを越え、ストレートだけでも打者を抑えられる投手となった。
以前、日野氏に「今の日本人で一番の投手は誰か」を質問した時、すぐさま「大谷翔平」と返ってきたことを思い出した。
「去年まではグワーンと思い切り力を入れて投げてたけど、今年は力が入らずに投げられるようになった」
そして
「プロは下(下半身)の動きが大事で、土台が押すので腕が遅れて出てくるようになり、ボールが遅れて出てくるように見える」
とプロの投手を分析してくれた。
大谷投手の昨日の160キロの場面は、テレビでも何度も流されているが、上半身に力が入っていない感じで投げられていた。それなのに投げた後に体は勢い余って回転し、球は160キロの速度を持ってキャッチャーミットを響かせた。
日本人バッターの課題
以前、日野氏は日本人バッターと外国人バッターの違いについて、デッドボールの当たり方が違うと教えてくれた。
日本人はスイングスピードが足りないため150キロの球を打とうと早くバットを振りだす。そのため、それが体に向かってくるとうちに言った状態でまともに手首や体の全面に死球を食らう。
外国人はスイングスピードが速いため、150キロの球も体に近いところでミートできる。そのため、バットを振りだす前に球のコースを判断することがで、体に向かってきた場合にはお尻や背中など、当たっても大けがをしない所で受けることができるという。
日本人でもインコースに強いバッターはスイングスピードの速い選手が多い。それは体の近くに来た球を打てるのか避けるのか判断する時間があるためなのだ。
そのような打者が多いのは体格の差があるかもしれないが、日本野球の文化や歴史の影響もある。日本野球はどちらかというと守り重視、攻撃は繋いで1点を奪うというスタイルが多い。高校野球、大学野球などでもそのスタイルが多く、守れる選手、塁に出られバントなどをきっちりできる選手が試合に使われる。
高校や大学で練習を見ると、ものすごい打球を飛ばす選手がいたりする。しかし、その選手を試合で見ることはない。そして試合に出られなかった選手は、プロ野球の道をあきらめざるを得なくなってしまう。
野球を変える
大谷投手は155キロの速球を投げ続け、日本のスモールベースボールを代表する打者がそれに圧倒的に抑え込まれるようになれば、プロ野球界はスイングスピードのある選手を求めることになるだろう。
そうするとアマチュア野球でも、そういう選手を重視するようになるのかもしれない。
投手だってそうだ、配球や投球術などで勝負しても19歳の選手に簡単に攻略されてしまうならば、もっと力がある選手が必要となる。
こうしてプロ野球は新たな段階へ入っていくのだと思う。
何人かの天才が世界を大きく変えることがあると思うが、大谷翔平はその一人なのだろう。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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