セ・パ交流戦が始まる!
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プロ野球
明日、5月20日からセ・パ交流戦が始まる。2005年から始まった交流戦は今年で10年を迎える記念すべき大会となる。
しかしセントラルリーグのチームにとっては恐怖のシーズンかもしれない。過去9年でセリーグが勝ち越したのは2009年の1年だけ、他はすべてパリーグが勝ち越している。一部のチームが大きく負け越すのに加え、上位の多くをパシフィックリーグのチームが占めることも多く、今年もパリーグが大きく勝ち越すなら、来年からはパ・セ交流戦と読んでも良いかもしれない。
実力の差について
交流戦でパリーグが勝つことについてよく言われるのは、「エースの存在があること」である。交流戦は2戦ずつカードが組まれ、3連戦よりも短期決戦に近く、また日程として先発の数を少なく回すことができるためと説明がされる。
確かに、ダルビッシュ有投手、田中将大投手、岩隈久志投手などの絶対的なエースがおり、メジャーに渡って活躍するほどの実力を持った投手はパシフィックリーグに多く、そして交流戦でも、昨年では東北楽天の田中将大投手が4勝0敗、2011年にはダルビッシュ有投手が4勝0敗の成績を残している。
しかし、2013年で言えば東京ヤクルトの小川泰弘投手や阪神の能見篤史投手が3勝し、2012年は巨人の内海哲也投手と杉内俊哉投手が4勝0敗と負けていない。良い投手はセリーグでもパリーグでも関係なく良い投手は良いのだが、問題は2番手以降の投手の実力という事になりそうだ。
2013年の打率ランキング10傑のうち、パリーグは8人、セリーグは2人 ⇒ リーグ別勝敗は60勝80敗でパリーグ
2012年の打率ランキング10傑のうち、パリーグは6人、セリーグは4人 ⇒ リーグ別勝敗は66勝67敗でパリーグ
2011年の打率ランキング10傑のうち、パリーグは8人、セリーグは2人 ⇒ リーグ別勝敗は57勝78敗でパリーグ
交流戦で勝ち越しを狙うには、むしろ実力が問われるのは打撃陣と言えそうだ。初めて対戦する投手陣に対し、圧倒的な球を投げるエースには抑えられても仕方ないが、2番手以降を確実に攻略する攻撃陣がカギとなる。
実力のないチームによって順位が決まる
昨年の交流戦の勝敗とチーム打率、チーム防御率をまとめる。
順位 | チーム | 勝敗 | チーム打率 | チーム防御率 |
1 | 福岡ソフトバンク | 15勝8敗1分 | .289 | 2.97 |
2 | 東北楽天 | 15勝9敗0分 | .257 | 3.28 |
3 | 巨人 | 13勝10敗1分 | .266 | 2.75 |
4 | 北海道日本ハム | 13勝10敗1分 | .256 | 3.23 |
5 | 千葉ロッテ | 13勝10敗1分 | .281 | 3.08 |
6 | オリックス | 13勝10敗1分 | .267 | 3.52 |
7 | 阪神 | 12勝11敗1分 | .246 | 3.13 |
8 | 広島 | 11勝13敗 | .227 | 3.66 |
9 | 埼玉西武 | 11勝13敗 | .260 | 2.80 |
10 | 中日 | 10勝13敗1分 | .247 | 4.47 |
11 | 東京ヤクルト | 7勝16敗1分 | .237 | 4.58 |
12 | 横浜DeNA | 7勝17敗 | .238 | 4.69 |
順位だけを見ると、福岡ソフトバンクは7つの貯金をしているが、チーム打率が2位、防御率は3位だった。打率.260に防御率2.80の埼玉西武は借金2の9位となっている。逆に打率.257で防御率3.28の東北楽天は貯金6となっている。
つまり24試合そこそこでは、チーム打率や防御率によって勝敗を割り出すことは難しいし、上位2チームと下位2チーム以外は勝ち星の差は6とそれほど大きな差ではない。従って交流戦のランキングは上位と下位以外はほとんど関係ないといってよく、巨人から中日までは互角といえる。
そこで上位2球団と下位2球団をみると、特に下位2球団は、打率、防御率ともに引き離され、大きく負け越しをしている。この2チームで借金は19で、セリーグ60勝80敗の借金を作り出している。この2チームに勝利する事でパリーグ球団が上位に名前を連ねる形になっている。
例年下位に沈む横浜DeNAは、交流戦での戦い方において他球団に比べて劣るものがあるのだろう。いずれにしてもこの2球団がせめて借金を5程度にしなければ、パリーグの優勢は変わらない。
横浜DeNA、東京ヤクルトは今シーズンもセリーグで最下位争いをしているが、なんとか交流戦で勝利するように、相手の分析など戦う前の準備をしていてほしいものだ。
(記事:Professional-view Baseball 編集部)
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