*

井川慶投手はなぜMLBで通用しなかったのか

公開日: : プロ野球

パシフィックリーグではオリックスの好調さが光っている。西勇輝投手、金子千尋投手の活躍はもちろんだが、先日は井川慶投手が5回1失点で2勝目を挙げた。阪神時代に20勝も記録した井川投手、なぜメジャーで通用しなかったのか、そしてなぜ復活ができたのかを探る。

阪神時代とヤンキース時代

井川慶投手は水戸商業から1997年にドラフト2位で阪神に入団し、2001年に9勝すると2002年に14勝、2003年には20勝を記録している。その後も13勝、14勝を続け、9年間で86勝を挙げた。当時の映像を見ると、大きくテイクバックしたフォームから角度のある140キロ後半の速球を投げ、カーブでタイミングを外して三振を奪っていた。

この活躍もあり、2006年のオフにポスティングによりヤンキースが約2600万ドル(約30億円)で落札し、5年2000万ドルの大型契約を結んだ。

しかしヤンキースでは初先発で5回8安打4四死球7失点、2本のホームランを打たれると、次の試合は6回5安打2失点と好投したもののリリーフでの調整となる。その後はリリーフと先発で登板したが、マイナーとメジャーを行き来したあと、2008年7月にメジャー契約を解除された。

その後2011年までマイナーでプレーをしたが結果を出せず、2012年にオリックスに入団し日本球界に復帰する。

変化球に課題

井川慶投手がメジャーで通用しなかった理由について、日野茂氏は変化球を指摘している。井川投手の場合、日本で140キロ後半を記録していたが、140キロ前後の時も多かったようで、球速からすればメジャーリーグでは遅い方となる。そして日本では武器となっていたタイミングを外す緩いカーブだが、メジャーリーグの打者はその遅い変化球を簡単に見逃し、ストレートを狙うことができていたという。

その後、井川投手はテイクバックを小さくして腕が見えにくいフォームにしてみたり、小さな曲がりのやや速い変化球などの習得に取り組んでいたが、日本の良かった時のようなダイナミックさは無くなり、フォームも素人が見ても力の入らないような形になってしまっていた。

 

オリックスで復活

井川投手はオリックスに入団後、2012年は2勝2敗、2013年は3勝7敗といまいちだったが、今年は既に2勝を挙げた。スタイルを見ると、ストレートとカーブで勝負していた物ではなく、スライダーなど多彩な変化球で勝負する投手となり、先日の福岡ソフトバンク戦では5回7安打7奪三振、ランナーを許しながらも好調ソフトバンク打線の打ち気をかわし、1失点に抑える頭脳的なピッチングをしていた。

メジャーリーグへの挑戦は、その結果は決して良くなかったが、その経験が今年の井川投手を支えている。もしあの時メジャーに行かず、阪神・井川慶が投げ続けていたらどうなっていたのかは想像できないが、今の井川投手も素晴らしい。

 

(記事:Professional-view Baseball 編集部)

関連記事

元スカウトがこれからプロに進む選手に伝えたいことは、「ビビって生きろ!」

 プロ野球ではドラフト会議で指名された選手が、続々と仮契約を交わしている。いよいよプロの道を歩む。そ

記事を読む

横浜DeNAの金城龍彦選手、スターへの道

横浜DeNAの金城龍彦選手がサヨナラ打を放った!これでチームタイ記録となる8度目のサヨナラ安打となっ

記事を読む

ドラフトに見る独立リーグの役割、石毛宏典氏が語る

2015年のドラフト会議では四国アイランドリーグプラスから6人が、BCリーグからも6人が指名された。

記事を読む

ドラフト注目選手を、石毛宏典氏、日野茂氏が斬る 第1回「オコエ瑠偉選手・関東第一」

 プロ野球ドラフト会議が10月22日に迫ってきた。様々なメディアで注目選手が取り上げられているが、元

記事を読む

今年のルーキー世代は波乱万丈の世代

今年のプロ野球は、特にルーキーの活躍が目立っているように思える。阪神の高山俊選手(ドラフト1位)は、

記事を読む

レギュラー争いと選手の成長

プロ野球では、同じポジションに複数の選手がいる。チームの各ポジションで選手を競わせて選手を育てるとい

記事を読む

自分のベストが決まる時

 野球選手にかかわらず、スポーツ選手は、自分のベストコンディションというものを理解している。特に野球

記事を読む

【ドラフト会議特集9】ドラフト会議を10倍楽しくするためのテレビ番組

 10月23日に行われるドラフト会議まであと1週間を切った。今年のドラフト会議を楽しむためにも、今週

記事を読む

松井裕樹投手とコーチの指導

4月23日の東北楽天vs埼玉西武戦、高校からプロに入って4度目の先発となった松井裕樹投手は、この試合

記事を読む

自民党へ逆提言、16球団に増やす為にこれが必要!

 自由民主党の「日本再生ビジョン」に、プロ野球の球団数を、静岡、北信越、四国、沖縄などプロ野球の無い

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です



  • 解説者:日野茂氏(元横浜ベイスターズヘッドコーチ)


    解説者:石毛宏典氏(元西武ライオンズチームリーダー、オリックスブルーウェーブ監督、四国アイランドリーグ創立者)

    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」
    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」


    取材協力:元プロ野球選手が教える野球塾
    「ZEROベースボールアカデミー」
no image
桐生第一・蓼原慎仁投手が甲子園のマウンドに

ゼロベースボールアカデミーで、小学校3年から6年間、野球の練

浅村選手、炭谷捕手などFA移籍でどうなるライオンズ、石毛宏典氏が語る

今年、パリーグを10年ぶりに制覇した埼玉西武、浅村選手、山川選手、秋山

日野氏は金足農・吉田投手、石毛氏は浦和学院・渡邉投手を評価

プロ野球ドラフト会議が近づいてきた。今年も多くの選手が注目される中で、

石毛宏典が西武の戦いに「普段通りやるしかない」

10年ぶりにパリーグ優勝を飾った西武ライオンズ、かつての黄金時代のキャ

石毛宏典氏と日野茂氏が根尾選手と小園選手を評価

夏の甲子園が終わり、U18アジア大会を戦う選手たち。その中で、西武ライ

→もっと見る

PAGE TOP ↑