*

【スカウト物語】1979年、杉永政信投手の「突然のドラフト1位報道」

公開日: : スカウト活動, 注目選手

日野茂氏はクラウンライターライオンズが西武ライオンズとなる1978年から1980年までスカウトとして全国を回っていました。その中で印象の残った出来事や選手を紹介してゆきます。第1回は鯖江高校・杉永政信投手です。

杉永政信投手との出会い

1979年、日野氏が鯖江高校の杉永政信投手を見たのは、県大会でした。その時、189cmの身長がある杉永投手に目を奪われ、その後もそれほど有名ではなかった鯖江高校に足を運び、杉永投手を視察しました。投げるストレートはものすごく速いものの、コントロールが悪く、チームもそれほど強くなくて大会では序盤で姿を消していました。

そんな無名の逸材でしたが、日野氏は何度も足を運び信頼関係を築きます。しかし、日野氏の評価としては、高校は田舎の無名校でしたし、大学や社会人で野球の経験をもっと積んで、さらに都会で社会人など人間的な経験を積んで成長してからプロ入りした方が良い、そういう評価でした。

 

突然の1位指名報道

 確かに無名だった杉永投手でした。ドラフト会議では西武は指名の予定は無く、日野氏も大学、社会人で成長を見て行こうと考えていました。しかしドラフト会議の前日、そんな状況は一変します。

「大洋、ドラフト1位の鯖江高・杉永」という報道が流れました。視察をしていた日野氏はドラフト当日の最後のスカウト会議で、編成の上司から問われます。「杉永を見ていたのか?」

その時、日野氏は冷静に評価を伝えました。「練習に慣れるのに3年、2軍で投げられるのに3年、その他含めて12年かかります」。やられたという想いもあったかもしれませんが、あの田舎の青年が都会で、しかもプロの世界で長い間やっていけるのか、他球団でしたが心配と期待をしていました。

プロの道

 1979年のドラフト会議で木田勇投手の抽選を外した大洋は、外れ1位で杉永投手を指名しました。杉永投手は入団会見で「300勝する」と強気の発言をしましたが、プロでも自分のフォームを見つけることはできず、6年目となる1985年に1軍で3試合に登板したものの結果は残せませんでした。そして1985年のオフに戦力外となり、プロ野球を引退しました。

しかし、杉永選手にはプロ野球で続きがあります。引退後に審判学校に通うと、1987年にセントラルリーグの審判として入局し、2013年までに2006試合に出場するなど「クルーチーフ」として活躍しています。

選手としては短い野球人生でしたが、審判として長い野球人生を送っています。

 

元スカウト・日野氏のスカウト物語、今後もこれまで明かされていない面白い話を紹介して行きます!

(記事:Professional-view Baseball 編集部)

関連記事

本命なきドラフト会議とスカウトの苦心

 昨年のドラフト会議は高校生ならば松井裕樹投手、大学生ならば大瀬良大地投手、社会人ならば吉田一将投手

記事を読む

ネットスカウトの情報量の凄さ

 先日、「ネットスカウト」と呼ばれる人と会う機会があった。情報量の濃さは想像を超えるほどはるかに深い

記事を読む

ドラフト下位指名選手の活躍、スカウトの喜び

 昨日の中日と横浜DeNAの試合で、中日のドラフト7位ルーキー・遠藤一星選手が勝ち越しのヒットを放ち

記事を読む

秋のドラフトパン祭り、今年のドラフトは”山崎”が中心? 大学生BIG4を評価する

今年のドラフト会議は特に大学生投手に注目が集まっている。中でもプロからの注目度が高く、大学BIG4と

記事を読む

スカウトの目は様々なものに影響される

 元プロ野球スカウトの日野茂氏は、選手時代は内野手としてプレーしていた。プロ野球のコーチ時代も守備な

記事を読む

【ドラフト会議特集1】ドラフト会議までに何を決めておくのか?スカウト会議で行う事

 いよいよドラフト会議まであと1か月となりました。今年は「確実にドラフト1位で行ける」と言える選手が

記事を読む

ドラフトで指名された選手に対する、元プロスカウトの評価を振り返る

 10月23日にドラフト会議が終わり、104人のプロ野球選手(候補)が誕生しました。これから契約をし

記事を読む

守備の良くない投手はどのように評価されるのか

 投手の評価、もちろん打者に対する投球のすばらしさが最も評価される点だが、ドラフト会議で指名された投

記事を読む

大谷翔平選手はメジャーで二刀流で活躍できるか、石毛宏典氏に聞く

いよいよ大谷翔平選手が、メジャーに移籍した。アナハイムエンゼルスで今季を迎える。メジャーでも二刀流に

記事を読む

プロの目から見たアマチュア選手のプレーと指導

 第1回プロ野球スカウト講座が7月4日に行われた。元西武スカウトであり、横浜ベイスターズの2軍監督や

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です



  • 解説者:日野茂氏(元横浜ベイスターズヘッドコーチ)


    解説者:石毛宏典氏(元西武ライオンズチームリーダー、オリックスブルーウェーブ監督、四国アイランドリーグ創立者)

    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」
    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」


    取材協力:元プロ野球選手が教える野球塾
    「ZEROベースボールアカデミー」
浅村選手、炭谷捕手などFA移籍でどうなるライオンズ、石毛宏典氏が語る

今年、パリーグを10年ぶりに制覇した埼玉西武、浅村選手、山川選手、秋山

日野氏は金足農・吉田投手、石毛氏は浦和学院・渡邉投手を評価

プロ野球ドラフト会議が近づいてきた。今年も多くの選手が注目される中で、

石毛宏典が西武の戦いに「普段通りやるしかない」

10年ぶりにパリーグ優勝を飾った西武ライオンズ、かつての黄金時代のキャ

石毛宏典氏と日野茂氏が根尾選手と小園選手を評価

夏の甲子園が終わり、U18アジア大会を戦う選手たち。その中で、西武ライ

盗塁:バッテリーとランナーの3.3秒の攻防

盗塁は、日本の野球に置いて、チャンスを広げ、得点を挙げるために重視され

→もっと見る

PAGE TOP ↑