*

石毛宏典が分析、日本シリーズ1,2戦

公開日: : プロ野球

石毛宏典氏は西武ライオンズの14年間に11度の日本シリーズに出場し、日本シリーズを知り尽くしている。その石毛氏に2016年日本シリーズの1,2戦の戦い方を分析してもらった。

よそ行きの野球をしている日本ハム

多くの解説者や野球ファンも、今年の日本シリーズのキーマンと見ていたのは、日本ハムの大谷翔平選手だっただろう。石毛氏も大谷選手に注目してみていたという。

「パリーグの優勝を決めた西武戦での1安打15奪三振の完封劇から、福岡ソフトバンクとのCSでのリリーフで165キロを記録してきた。その勢いのままに日本シリーズに入れるかに注目をしていた。しかしカープとの初戦、ちょうど今年のシーズン当初に、いいところに投げよう、探りながら入ろうというようなピッチングをしていたが、それと同じような感じだった」と話す。

大谷投手は今年のシーズンは開幕試合で敗戦投手になると4月まで勝ち星を挙げられない状態が続いていた。石毛氏は当時の大谷投手のピッチングについて、同じように探りながら、良いピッチングをしようというのが見えたと指摘している。その時に「大谷は甲子園に出られていない。なんとなく浅田真央のような(すごい力を持っているのに大舞台で力を出せない)印象を受ける」と話していた。

対するカープは「大谷対策としてマシンで160キロくらいのスピードで練習をしてきたと思う。そこで大谷のきれいなフォームで150キロの球を投げれば打ちやすい」という。「人が投げるよりマシンの方が球が速く感じられる」という。松山、エルドレッドが大谷の速球をたやすくスタンドまで運んだ。

 

プレーに出た勢い

また2つのプレーについて指摘をした。まずは1戦目、広島が先制点を奪ったシーン、1アウト1,3塁の場面でファーストランナーの安倍がセカンドに走り、キャッチャーがセカンドの送球する間にサードの鈴木がホームインしたシーンだ。

「このプレーは日本ハムショートの中島の捕球の仕方を見ても、大谷がカットをしなかったミスなのは間違いない。サインは見落としてはいないと思うが、テレビ中継の解説が言っていたように三振がとれて『よしっ』ってなってしまったのかもしれない。」と話した。これについて、元西武ライオンズコーチの日野茂氏は「ピッチャーが一流じゃない投手ならわかるが、大谷だから許せないプレー」と指摘をした。

そしてもう一つは2戦目の6回裏の広島の攻撃、ノーアウトから田中が2ベースヒットでセカンドに進む。送りバントのチャンスだった。バッター菊池が2ボールの後1球ストライクを見送りカウント2-1からの4球目だ。

「日本ハムはバントをさせて3塁で刺そうとするサインプレー。中島がセカンドベースに入りランナーのスタートを遅らせようとし、菊池にはバントをさせる球を増井が投げた。ただこのボールが気のないボールだった。菊池はショートの動きを見てバスターに切り替える判断をしたが、気持ちの入ったボールだったら、インコース高めのあの球は詰まるはず。投げる球に緩みがあった」と指摘した。

日本ハムはこのプレーで失点した後、丸選手のバントを増井投手が一塁に悪送球、この回に4点を失い2敗に追い詰められた。

またカープ側のプレーについても石毛氏は指摘をする。「ベンチの指示は菊池は送りバント、丸は打てだったと思う。しかし菊池はバスターに切り替え、丸はバントをした個人プレーだった。良い面に出たから良かった」と話す。「ただ緒方監督の試合後のインタビューを聞くと、個人の判断を尊重する姿勢をシーズン中からしていたと考えられる」とし、こういう戦い方がカープのプレーなのだろうと話した。石毛氏は「俺だったら送りバントを選択する。サード側に転がせば簡単にできる場面だから」と話した。

 

ベンチの雰囲気

そして日本ハムのチーム自体について、「気持ちの入っていないような、よそ行きのプレーをしている」と指摘した。「1戦目で負けているのに2戦目もベンチの中でニヤニヤ笑っていた。自分たちには考えられない。日本シリーズは常に緊張していた」。大谷のプレーも、増井の力のない一球も、そのほか、大野の捕球などプレー一つ一つに緩みがある、と話した。

日本シリーズは北海道に移動し3戦目を迎える。日本ハムが勢いを取り戻すことができるのか、石毛氏は「できることをすべてやる。カバーリング、全力疾走、一球入魂、出来ることをすべて」と話した。

ちなみに西武時代の日本シリーズ11度の出場で、開幕から2連敗したシリーズは3回ある。そのうち1985年の阪神、1993年にヤクルトには日本一を奪われている。そして1986年、相手は広島だったが、1戦目に引き分けのあと3連敗をしたが、そこから4連勝をし逆転で日本一になったシーズンがある。このシーズンについて「本当に開き直りだった。西武球場に戻って2連敗し後がない状態で、恥ずかしいから1勝でもしてやろうという気持ちで東尾、工藤で1勝した。そうして広島に移動したら、次も勝ってやろうとなっていった。遠征先ではみんな開き直って、ホテルの中をスラパンでみんな歩き回っていた」という。

その雰囲気を作り出したのは、チームのキャプテンだった石毛氏だったと日野氏は話す。「この人は硬軟使い分けることができるキャプテンだった」と話す。今年の日本ハムを見るとどうだろう。この前までは稲葉がチームをまとめる事が出来た選手だったが、今年のチームはキャッチャーの大野が主将である。またリーダー的な立場になると中田翔が挙げられる。この二人がチームをまとめられるかがポイントだと話す。

 

シリーズ前の戦いも

また石毛氏はもう一つポイントを挙げていた。「カープは4番、5番に松山、新井、エルドレッドを、相手によって変えてくる。そうした意味で日本シリーズを予告先発にしたことが緒方の戦略」と話した。

(Professional baseball view 編集部)

関連記事

日野さん

一流選手が名指導者になるために

 プロ野球ではよく、「選手として一流だった人は名指導者にはなれない」と言われることがあります。もちろ

記事を読む

ishige2

石毛宏典氏、日本シリーズで一番強かったのは1985年の阪神

 石毛宏典氏は、西武ライオンズの黄金期を戦い、11度の日本シリーズを経験し、8度の日本一に輝いている

記事を読む

yokohama

プロ野球選手のエラーと教育、横浜DeNA・白崎浩之選手

セリーグの最下位に低迷する横浜DeNA、4月23日の巨人戦では2年目のショート・白崎浩之選手が3失策

記事を読む

a0001_009104

野球の魅力 ~体型に関係なくいろんな才能に活躍を与える球技~

 野球の魅力について1回目では、団体競技でありながら、個人vs個人が注目されるスポーツということを紹

記事を読む

batter

日本人打者よ、空振りやエラーをしてさらに上を目指せ!

 プロ野球はオールスター出場選手がすべて決定した。投手陣では大谷翔平投手をはじめ、菅野智之投手、則本

記事を読む

notes

育成ドラフト指名選手の1年目での支配下登録

巨人は2015年ドラフト会議において育成ドラフト8位で指名し、育成枠で契約をしていた長谷川潤選手と支

記事を読む

kousyou

横浜DeNAが2011年に獲得した高校生選手を自由契約に

 横浜DeNAは2011年に高校生8人を指名したものの、ドラフト1位の北方悠誠投手や帝京の伊藤拓郎投

記事を読む

日本

【終戦記念日特集】8月15日、日本の野球の終戦記念日

 8月15日は終戦記念日である。そして日本の野球にとっても、8月15日は終戦記念日なのだ。  20

記事を読む

バッターボックス

器用だけど不器用だった「秋山幸二選手」はメジャーを狙えたか?

 福岡ソフトバンクの秋山幸二監督、2011年には日本一の監督になったが、選手時代も西武ライオンズで主

記事を読む

Koushien

大谷翔平選手の活躍とマーケティング戦略

 6月19日、北海道日本ハムの大谷翔平選手が8回を投げて1安打11奪三振で無失点に抑えた。甲子園で見

記事を読む



  • 解説者:日野茂氏(元横浜ベイスターズヘッドコーチ)


    解説者:石毛宏典氏(元西武ライオンズチームリーダー、オリックスブルーウェーブ監督、四国アイランドリーグ創立者)

    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」
    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」


    取材協力:元プロ野球選手が教える野球塾
    「ZEROベースボールアカデミー」
石毛宏典
浅村選手、炭谷捕手などFA移籍でどうなるライオンズ、石毛宏典氏が語る

今年、パリーグを10年ぶりに制覇した埼玉西武、浅村選手、山川選手、秋山

日野さん
日野氏は金足農・吉田投手、石毛氏は浦和学院・渡邉投手を評価

プロ野球ドラフト会議が近づいてきた。今年も多くの選手が注目される中で、

石毛宏典
石毛宏典が西武の戦いに「普段通りやるしかない」

10年ぶりにパリーグ優勝を飾った西武ライオンズ、かつての黄金時代のキャ

Koushien
石毛宏典氏と日野茂氏が根尾選手と小園選手を評価

夏の甲子園が終わり、U18アジア大会を戦う選手たち。その中で、西武ライ

ishige2
盗塁:バッテリーとランナーの3.3秒の攻防

盗塁は、日本の野球に置いて、チャンスを広げ、得点を挙げるために重視され

→もっと見る

PAGE TOP ↑