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社会人野球出身スラッガーは誕生するか

公開日: : 社会人野球

 福岡ソフトバンクで活躍していた松中信彦選手が引退を表明した。松中選手といえばプロでの活躍ももちろんだが、新日鉄君津(現新日鐵住金かずさマジック)時代の強烈な打撃と、1996年のアトランタ五輪の決勝のキューバ戦で見せた同点満塁ホームランが印象的だった。そして社会人出身のスラッガーとしてプロでも一時代を作った。

社会人の有力打者が少ない

2015年のプロ野球の打撃ランキングを見ると、両リーグの打撃20位までの中で、社会人野球出身者は、千葉ロッテ・清田育宏選手と、阪神・福留孝介選手、広島・田中広輔選手、中日・大島洋平選手の4人しかいない。ホームラン数を見ても2ケタ本塁打を記録している社会人出身選手は、清田選手、福留選手、巨人・長野久義選手の3人だけとなっている。

近年は、社会人の野手で2013年に日本生命の小林誠司捕手が巨人にドラフト1位指名、2011年に東芝の安達了一選手がオリックスにドラフト1位で、2009年の巨人がホンダの長野久義選手を1位指名しているが、ドラフトの注目選手となるような野手が登場していない。

これについて、プリンスホテルから西武に入っている石毛宏典氏と、松下電器から中日に入っている日野茂氏は、「良い選手は高校や大学でプロ入りしている。それでも埋もれているスケールの大きい高校生がいたが、企業も採用についてはある程度学歴を見るようになり、高校生の選手を獲りにくいという事もあるのでは」と話した。確かに松中選手は、八代一高校から新日鐵住金入りしている。

また、石毛氏は「地方の大学がそういう選手を獲り始めた」と話す。かつては大学野球といえば、東京六大学や東都に関西学生リーグなどの名門大学が中心で、地方の大学は、それほど有力高校生のスカウティングなどはしていなかった。しかし東北福祉大や九州共立大を皮切りに、富士大学、中部学院大、上武大など、地方の野球強豪大学が、高校生の有望選手をスカウティングするようになった。

高校生にとってはやはり大学への進学は一般的になっており、また社会人も正社員の採用ではなくプロ契約(契約社員)や子会社での採用など、状況も変わり、大学進学を選択することが多いと考えられる。

 

社会人野球は変わり始めるか

しかし、今年にかぎっては、昨日まで行われた社会人野球の東京スポニチ大会で、野手の活躍が目立った。JX-ENEOSの谷田成吾選手や、日本通運の北川利生選手などがホームランを放った。またJR東日本の丸子達也選手はあたりこそなかったが、十分な体格と大学での実績がある。

谷田選手と北川選手はプロ志望をしながらもドラフト会議で指名漏れとなり、社会人に進んだ。大学生で有望な選手が、たまたま社会人に進んだという感じである。社会人野球のスカウティングは、スカウトの数もそれほど多くないしお金もかけられないため、どうても中央の大学からの選手獲得が多くなってしまう。またスカウティングは基本的に監督と監督の繋がりであることが多く、社会人野球の監督が密接につながることができるのはやはり大学の監督という事になる。

会社も、東京六大学の選手と、そこそこ有名な高校の選手をどちらが欲しいといえば、東京六大学の選手の方を選択するだろう。

ただし、投手については、4年間を過ごさなければならない大学よりも3年間でプロに行ける可能性がある社会人を選択する高校生も、増えているという実感がある。その投手の獲得を皮切りに、その高校の有望な野手を獲得し社会人で育てることができれば、再び社会人野球出身のスラッガーが登場してくるかもしれない。

(記事:Professional-view Baseball 編集部)

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