吉田正尚選手、高山俊選手、ドラフト1位候補を石毛宏典、日野茂が斬る
前回に引き続き、今年のドラフト会議で1位指名に名前の挙がる選手を、石毛宏典氏、日野茂氏に斬ってもらいました。今日は第2回、大学生外野手として注目されている青山学院大・吉田正尚選手、明治大・高山俊選手です。
元プロ野球選手の厳しい目で斬る
青山学院大・吉田正尚選手
吉田選手は敦賀気比高校で高校通算52本塁打、大学でもこれまで16本塁打を放ち、侍ジャパン大学代表でも4番を務めるスラッガーだ。しかし、左の外野手で173cmとスラッガーとしては体が大きくない選手でもある。
吉田選手はホームランバッターとしてオリックスなどがホームランバッターとしてドラフト1位指名が確実になっています。
日野:「スイングは素晴らしい」
石毛:「大学でも3年生から成績を上げている。バットの振りが鋭い、でも体の大きさを考えるとプロで長くやると考えると難しい」
体の大きくない選手では埼玉西武の森友哉選手も昨年と今年にブレークしています。
石毛:「森もスイングは本当に素晴らしい。でもあのフルスイングを長い年数続けてはいけない。ケガにつながっていく」
日野:「長い年数プロでやって言う事を考えると、プロでのスタイルを模索していく必要がある」
東都では2部リーグでプレーしています。2部での成績というものは差し引いて考えるべきでしょうか?
石毛:「東都の場合、2部もレベルが高いのでそれはあまり関係ない。」
日野:「肩や守備が安定した選手になって、打撃の技術を掴んで(フルスイングでなくても)飛ばせる選手になれば、プロで長い間やれる選手になる」
やはりプロでの厳しさを知っている2人、プロで長くやる事を前提に選手を見ることが多く、数年後の吉田選手の姿を考えている様でした。
プロ野球では門田博光氏が170cmながら567本のホームランを打ちました。
日野:「門田さんは1970年台は20本~30本だったが、1980年代に入って40本を打ってるからね。プロで技術を身に着けた」
吉田選手も20代では現在のスイングで20本前後のホームランは打ちそうです。しかしそのあと、門田選手のようなバッティング技術を身に着けて40歳を過ぎてもスラッガーと呼ばれるような選手になるのか、期待を込めての評価となりました。
明治大学・高山俊選手
高山選手は東京六大学で通算安打記録を塗り替えました。現在も記録を更新し続けています。
日野:「記録を積み重ねられるというのは立派」
石毛:「でも成績だけを見てもいけない。東京六大学をあまり見ていないが、現在の六大学の投手のレベルがどうかも成績に関係してくる」
確かに東京六大学はまず野球のレベルにおいて東京大の試合がある事、また東都に比べると入れ替え戦などが無く、その時に投手力が高くないチームがある時もある。
石毛さん(駒澤大出身)、日野さん(中央大出身)は東都に比べると東京六大学はどう思いますか?
石毛:「東都の方が(入れ替え戦などがあり)厳しいのは間違いない。それでレベルの低いチームは入れ替わるので、レベルがある程度維持される。大学野球は東京六大学や東都だけでなく、地方のリーグも時期によって投手のレベルが高い時、低い時がある。」
日野:「なので、特に野手の場合にはしっかりと何試合も見て評価しないと、成績だけでは見られない」
石毛:「特に通算記録は、試合数の多さも影響する。アベレージの方がまだ見れる」
高山俊選手は(10月11日時点で)通算安打数は130安打です。そして打率は.328でした。
石毛:「映像を見た感じ足もあるし、しっかりしたスイングもある。実際に見ないとわからないが、良い選手だと思う」
高山選手は通算安打数の記録もあり、ヒットを打つための打撃をしているようにも見えますが、ホームランも狙えるし、俊足でバントヒットも狙える選手、プロでのびのびプレーできれば、いろんなことをしてくる打者となりそうです。
注目される大学生外野手、ドラフト会議は10月22日木曜日。
(記事:Professional-view Baseball 編集部・柄井)
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