*

早稲田大・吉永健太朗投手を、元スカウトが評価する

公開日: : スカウト活動 ,

 早稲田大の吉永健太朗投手、日大三高校で、畔上翔選手、横尾俊建選手、高山俊選手などと共に夏の甲子園を制覇し、高校日本代表でもエースとして、AAAアジア野球選手権でも優勝投手となった。プロ入りを目指して早稲田大に進学し、そして今年、4年生となってドラフト会議を迎える。

大学1年生までと、それから

 AAAアジア選手権決勝の韓国戦は、目を見張るピッチングを見せた。5回までノーヒットに抑えると、6回にパスボールで1点を失うものの失点はそれだけ、常時140km/h以上を記録するストレートを内角・外角に配球し、最後は決め球のシンカーで三振を奪った。

 182cm80kgのバランスの良い体型からきれいなフォームで投げられる直球は、147km/hを記録する。きれいなフォームの理想と感じていた。そしてその素質と実績は、大学でもいきなり活躍を見せる。1年生の春のリーグ戦で4勝0敗、防御率1.25でMVPに輝くと、大学野球選手権でも日本一に貢献し、高校3年と大学1年の2年間だけで、高校、大学の頂点に立った。

 しかしそれから徐々に歯車が狂い始める。秋は3勝2敗、防御率も2.67となると、3年時は春も秋も6イニングずつしか登板しなかった。肩痛などの故障もあったが、投球フォームを崩した影響が大きいという。そしてこの春は、高校生のフォームに戻す事に挑戦し、春のリーグ戦を迎えた。しかし、東大戦で好投を見せたものの、今のところわずか7イニングを投げたのみとなっている。

 

元プロスカウトが評価

 吉永健太朗投手については、高校時代の映像と大学1年時の映像、そしてこの春の映像を、元西武スカウトの日野茂氏に見てもらい評価をお願いした。

Youtube AAA日本代表 吉永健太朗(日大三高)-近藤健介(横浜高)バッテリー

 

Youtube Baseball 吉永健太朗 × 東浜巨 1/2 全日本大学野球2012-617

 

Youtube 東京六大学野球 2015年春季】早大 吉永 対 東大 山田_2015041801

 

 日野氏は、「高校の時の方がバランスが良いフォームに見える」と話した、大学4年時の投球は、「構える時に前かがみ」になっていると指摘した。故障もあり、高校時代の披露もあってフォーム改造に取り組んでいたとみられるが、4年時に高校生の時のフォームに戻すという決断をしたという事は、本人の中でも高校の時のフォームが理想と感じているのだろう。

 また、自信の面も大きく影響をしている。大学1年時は高校の時に比べるとバランスはやや前傾になっているものの、力を入れずに腕を素早く振る事ができ、それによってキレの良い球が投げられている。しかし4年時の投球は振る腕に力がこもっている感じがする。

 フォームのバランスを崩し、ストライクも簡単に取れなくなるなど苦労をしていたし、ストライクに入るとヒットを浴びた。それによりって自然に力が入ってしまう形になっているのだろう。いずれにしても体のパワーで押し切るような投手ではなく、140km/h前半の球速でもキレの良い球をコーナーに決め、決め球のシンカーで打ち取るタイプの投手なので、腕の振りにつながるフォームは成績に直結する。

 持っている素質も実績も十分ある。昨年の島袋洋奨投手のような感じだが、島袋投手はあこがれのプロ入りを果たした。今年のドラフト会議では、吉永投手を復活させる事ができると考える球団が指名をする可能性があるが、高校の時ほど高い評価ではないだろう。

 

 斎藤佑樹投手、東浜巨投手、島袋洋奨投手、そして吉永投手。甲子園優勝投手が背負う重荷は、考えられない程重いのかもしれない。でもそれを克服して復活する姿を、焦らずゆっくりと待ちたい。

(Professional baseball view 編集部)

関連記事

2015年ドラフトを元西武スカウト・日野茂氏に聞く

2015年のドラフト会議から1ヶ月が経ち、球団では入団発表が行われている。今年のドラフト会議の指名の

記事を読む

大阪商業大・岡田明丈投手を、元プロスカウトが評価する

 大阪商業大の岡田明丈投手がこの春に150キロを記録し、連日のようにプロ野球のスカウトが姿を見せてい

記事を読む

夏の高校野球、プロのスカウトは何を見ているのか?

 季節は7月、暑い季節となりました。そして熱い高校球児の戦いが各地で行われています。新聞でも注目の球

記事を読む

選抜高校野球で注目された選手はドラフトで指名されやすいか

選抜高校野球大会は、まだ肌寒い季節ですが高校生たちの熱い戦いが行われています。1回戦で32チーム全て

記事を読む

ドラフトの注目遊撃手、中京学院大・吉川尚輝選手を元スカウトが分析する

今年のドラフト会議で、注目されている大学生がいる。中京学院大の吉川尚輝選手は、プロのスカウトがドラフ

記事を読む

ドラフト会議で選手を指名した担当スカウトの気持ち

 ドラフト会議で追い続けていた選手を指名した時、担当スカウトは「責任を感じる」ということを、【ドラフ

記事を読む

田中正義になれるか、成長を期待したい4投手を元プロスカウトが評価

今年のドラフト会議の超目玉として、早くも一挙手一投足に注目が集まっている創価大・田中正義投手。12球

記事を読む

背の低い選手に注目する

 野球はバレーボールやバスケットのように身長が高い必要はない。サッカーに比べても頭上のプレーが多いわ

記事を読む

野手のドラフト候補がスカウトに注目されるには

 センバツに出場する野手の候補を紹介してきたが、元西武のスカウト・日野茂氏に、「野手はどんな風にすれ

記事を読む

プロ志望届例(栃木県高校野球連盟ホームページより取得)

高校生のスカウト活動は最終段階へ、プロ志望届からドラフト会議まで

 夏の高校野球大会が、甲子園で熱戦が繰り広げられています。1回戦と2回戦までの代表49校すべてが登場

記事を読む



  • 解説者:日野茂氏(元横浜ベイスターズヘッドコーチ)


    解説者:石毛宏典氏(元西武ライオンズチームリーダー、オリックスブルーウェーブ監督、四国アイランドリーグ創立者)

    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」
    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」


    取材協力:元プロ野球選手が教える野球塾
    「ZEROベースボールアカデミー」
浅村選手、炭谷捕手などFA移籍でどうなるライオンズ、石毛宏典氏が語る

今年、パリーグを10年ぶりに制覇した埼玉西武、浅村選手、山川選手、秋山

日野氏は金足農・吉田投手、石毛氏は浦和学院・渡邉投手を評価

プロ野球ドラフト会議が近づいてきた。今年も多くの選手が注目される中で、

石毛宏典が西武の戦いに「普段通りやるしかない」

10年ぶりにパリーグ優勝を飾った西武ライオンズ、かつての黄金時代のキャ

石毛宏典氏と日野茂氏が根尾選手と小園選手を評価

夏の甲子園が終わり、U18アジア大会を戦う選手たち。その中で、西武ライ

盗塁:バッテリーとランナーの3.3秒の攻防

盗塁は、日本の野球に置いて、チャンスを広げ、得点を挙げるために重視され

→もっと見る

PAGE TOP ↑