*

新人が開幕スタメンを奪うには?

公開日: : プロ野球

 プロ野球が開幕した。毎年、オープン戦では新たに入団した選手が注目され、チームの戦力アップを想像する。しかし、実際にペナントレースの開幕を迎えると、昨年までのレギュラー陣が名を連ねることが多い。新人が開幕スタメンをつかみ取る難しさを、横浜ベイスターズでヘッドコーチなどを経験した日野茂氏に聞いた。

新人が開幕スタメンを獲る条件

1.強力なレギュラー選手の存在

 プロ野球や競争社会といっても、やはりチームの中心選手は、首脳陣もファンも戦力として最初から計算に入れている。例えばオリックスの糸井選手や福岡ソフトバンクの内川選手などからポジションを奪うのは、その選手がケガでもしない限りほぼ不可能といえる。

 

2.故障無く開幕を迎える

 次に重要なのは、故障なく開幕を迎える事で、これが意外と難しい。中日ドラゴンズのドラフト3位、中日の友永翔太選手はオープン戦で活躍を見せたものの、故障のため開幕を1軍で迎えることはできなかった。新人ではないが、巨人で今年こそ主軸をと期待されていた大田選手も、故障で降格している。

 

3.オープン戦の成績

 そのような強力なレギュラーがいない場合、新人もオープン戦で結果を残せばチャンスを掴む可能性出てくる。どのくらいの成績を残せば良いのか、日野氏は「新人で打撃が売りの選手ならば打率4割以上は欲しい。それくらいのものが無ければ、打率.250の実績のある選手の方を使う」と話す。

 野手に関していうと、プロ野球での経験というものはやはり大きい。そして経験を積んでいるベテラン選手でさえ、開幕戦で結果を残すことは難しいという。選手を使う監督としても、新人の勢いというものは認めながらも、やはり実績のある選手を使う事で安心をしたくなるという。新人を起用してノーヒットに終わったり、エラーなどで試合を決まってしまうと非常に悔いが残る。それならば、実績のある選手を使ってノーヒットに終わっていたほうが、まだ悔いが残らないという。監督もやはり人間なのだろう。

 

4.チームの状況

 3とも関連するが、チーム状況によって新人が起用されやすい状況になっているかという事もある。例えば巨人や阪神といった伝統も人気もあるチームは、常に戦力が整えられ常に勝利を求められるチームであり、開幕で新人を使うような賭けをしなくても実績のある選手を使えば勝てる戦力がある。新人を使うのはそのベテラン選手の疲労が出てくる事、または主力に故障が出てきたときに使えばよい。

 逆に横浜DeNAなどは、成績は上昇しているものの昨年も5位と下位で低迷していたチームで、常にチャレンジャーの精神を持てる状況にある。そこで実績のある選手を外し、新人を起用する賭けもしやすくなる。

 また、監督が交代したチームも、ある程度のチーム作りの時間が監督に与えられていることが多い。そのため、この選手を中心選手に育てるという考えで腹をくくって使っていくこともあるという。ただし、福岡ソフトバンクは、監督が何もしなくても優勝できる、と評論家が話すように戦力が整っている。工藤監督は新人監督といえど、今年は自分の色を出していくのはなかなか難しい。来年あたりから自分の考える選手を起用していくのだろう。

 

 このようにさまざまな条件をクリアし、新人が開幕をスタメンで迎えることができる。野手では横浜DeNAの倉本寿彦選手がスタメンレギュラーを獲得した。もしエラーなどをすればファンも、そしてスタメンを奪われた山崎選手も納得するのが難しく、中畑監督に批判が集まるリスクがあった。しかし倉本選手はヒットも放ち、守備でも好プレーを連発して期待に応えた。

 広島も新人の緒方監督が野間峻祥選手を3試合目に1番ライトに抜擢した。緒方監督はドラフト会議でも外れ1位で希望して野間選手を獲得し、腹を決めているように見える。

 巨人は新人の高木勇人選手を新人としては久々の開幕ローテーションに加え、初勝利を挙げた。投手はすぐに活躍する選手も多いが、「巨人で」という事は快挙だろう。裏を返すと投手の戦力が薄くなっていることを示している。

 新人の活躍もプロ野球の花、エラーなどで小さくなることなく、将来のチームの中心選手になってほしい。

(Professional baseball view 編集部)

関連記事

選手の成長とケガのケアに重点を置いた、工藤監督の福岡ソフトバンク優勝に石毛宏典氏語る

 工藤公康監督が就任して1年目の福岡ソフトバンクがパリーグ優勝を果たした。コーチ未経験での就任1年目

記事を読む

2015ドラフトを振り返る

2015年のドラフト会議が終わりました。当サイトで取り上げた選手も指名をされていますが、まずは今年の

記事を読む

元スカウトがこれからプロに進む選手に伝えたいことは、「ビビって生きろ!」

 プロ野球ではドラフト会議で指名された選手が、続々と仮契約を交わしている。いよいよプロの道を歩む。そ

記事を読む

プロ野球開幕の緊張を味わいたい

プロ野球選手にとって、野球は楽しいのだろうか?率直に石毛宏典氏、日野茂氏に聞いてみた。すると・・・。

記事を読む

2015年のドラフト会議はどうなるのか?

 2015年プロ野球ドラフト会議が10月22日に開催されることが決定した。昨年は早稲田大の有原航平投

記事を読む

変わる背番号

プロ野球では新入団選手の発表が行われ、また他球団からの移籍選手や新外国人選手の入団なども続々ときまっ

記事を読む

野球選手のヒーローインタビュー

 日野茂氏が湘南シーレックス(現横浜DeNAのファームチーム)の2軍監督をしていた時、野球の技術だけ

記事を読む

野球の魅力 ~体型に関係なくいろんな才能に活躍を与える球技~

 野球の魅力について1回目では、団体競技でありながら、個人vs個人が注目されるスポーツということを紹

記事を読む

石毛宏典氏が2016年シーズンを振り返る:セリーグ編

2016年のシーズンについて、元西武ライオンズの石毛宏典氏に振り返ってもらった。今日はセリーグ編。

記事を読む

【ドラフト会議特集3】ドラフト会議を待つ選手の心境、4度目のチャンスでプロ入りした清水透選手

 ドラフト会議を迎える選手たち、しかし実はプロに行きたいからと素直のプロ志望をすることができない状況

記事を読む



  • 解説者:日野茂氏(元横浜ベイスターズヘッドコーチ)


    解説者:石毛宏典氏(元西武ライオンズチームリーダー、オリックスブルーウェーブ監督、四国アイランドリーグ創立者)

    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」
    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」


    取材協力:元プロ野球選手が教える野球塾
    「ZEROベースボールアカデミー」
浅村選手、炭谷捕手などFA移籍でどうなるライオンズ、石毛宏典氏が語る

今年、パリーグを10年ぶりに制覇した埼玉西武、浅村選手、山川選手、秋山

日野氏は金足農・吉田投手、石毛氏は浦和学院・渡邉投手を評価

プロ野球ドラフト会議が近づいてきた。今年も多くの選手が注目される中で、

石毛宏典が西武の戦いに「普段通りやるしかない」

10年ぶりにパリーグ優勝を飾った西武ライオンズ、かつての黄金時代のキャ

石毛宏典氏と日野茂氏が根尾選手と小園選手を評価

夏の甲子園が終わり、U18アジア大会を戦う選手たち。その中で、西武ライ

盗塁:バッテリーとランナーの3.3秒の攻防

盗塁は、日本の野球に置いて、チャンスを広げ、得点を挙げるために重視され

→もっと見る

PAGE TOP ↑