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侍ジャパン、各代表で世界一は1つのみ、課題と来年に向けて

公開日: : 侍ジャパン

 昨年、侍ジャパンとして統一された日本野球の各世代の代表、今年は8つの各世代などの代表が、すべて国際大会や日米野球に出場したものの、優勝は女子代表の1つのみに終わった。課題を探る。

今年の各世代の実績

 まずはじめに今年の侍ジャパン各代表の、大会での成績をまとめる。

代表 大会 結果 監督 優勝国・対戦国など
12U BFA12Uアジア選手権 2位 仁志敏久 韓国に勝利も台湾に3-7で敗れ2位
15U IBAF15Uワールドカップ 2次ラウンド
敗退
鹿取義隆 1次ラウンドでアメリカ、パナマに敗れ、
それが影響し決勝トーナメント進出を逃す。
18U BFA18Uアジア選手権 準優勝 高橋広
(鳴門渦潮監督)
準決勝で台湾に3-2で勝利も
決勝で韓国に1-2で敗れる
大学生 ハーレムベースボールウィーク 準優勝 善波達也
(明治大監督)
準決勝でオランダに2-1で勝利も
決勝でアメリカに3-6で敗れる
21U IBAF21Uワールドカップ 準優勝 平田勝男 2次ラウンドで韓国に1-0、台湾に6-2で
全勝で決勝も、決勝戦の台湾戦で0-9で大敗 
社会人 アジア競技大会 3位 小島啓民
(元三菱重工
長崎監督)
決勝リーグ台湾戦で4-10と大敗、
3位決定戦で中国に10-0
女子 IBFA女子ワールドカップ 優勝! 小倉孝一
(環太平洋大
女子監督)
二次ラウンドでアメリカに1-0、
決勝でも3-0で勝利
トップ 日米野球 勝ち越し 小久保裕紀 メジャーリーグに3連勝、
ノーヒットノーランも達成

 

 優勝は女子代表のみ、12U、21U、社会人の代表が台湾に敗れ、18Uは韓国に敗れて優勝を逃した。

 今年侍ジャパンは12球団の出資のもとで新会社を設立し、マーケティングなどを事業化を行う見込みだが、特に男子は若い世代も高校、大学といった世代でも優勝を逃した。

 

敗因は?

 良い結果を残しているのは日本で開催されている女子代表と日米野球だけという事もあり、国際大会の経験の少なさを指摘する声もあるが、台湾も韓国も機会は同じだと思う。ただし長期にわたり海外で過ごすという事は、かなりの負担となるのは確かだろう。

 またホームで行われるために力の入れようが違うという事はある。日本は対戦しなかったものの、アジア選手権で韓国チームはプロ野球のオールスターをそろえて出場し優勝している。台湾はメジャーリーグのマイナーでプレーする選手を集め、21Uでは優勝した。

 21Uにおいては日本もプロ野球で8勝を挙げた上沢直之投手(北海道日本ハム)を中心にプロのメンバーもそろえたが、21Uで1軍でプレーを続ける藤浪晋太郎投手、大谷翔平投手といった選手はトップチームに入り、優勝することはできなかった。

 

侍ジャパンの課題を挙げる

1、代表同士のメンバーの取り合い

 取り合いが行われたという事はないだろうが、21Uの候補だった藤浪晋太郎投手や大谷翔平選手を、日本で開催される日米野球のメンバーにしたことで、21Uのプロ出身メンバーは1軍未経験の選手も多く、層が薄かったようにも感じる。

 特に、大学代表、21U代表、トップチームはメンバーが重なる所でもある。今年は1年目という事もあってすべての大会に出場したが、今後は大会を絞りメンバーを集める事が必要となるだろう。

 

2、国内大会への配慮、選手選考の不明確さ

 今回の21U代表は日本シリーズや大学のリーグ戦、明治神宮大会など国内大会が優先され、たとえば創価大の田中正義投手や明治大の高山俊選手などは選出されなかった(田中投手は故障もあったが)。また、プロのメンバーも中村勝選手、牧原大成選手がオーバーエージで選出され、準優勝に貢献したものの、もっと実績のある選手が選ばれても良かったかもしれない。

 また大学代表においても、代表合宿を行いそこから選抜をされているが、見ている観客にとっては選考基準がわからない所もあり、中央の大学が優先される傾向もある。

 

3、12U,15Uの監督

 この世代が敗れたことは非常に大きな問題といえる。将来に向けての課題は大きい。

 12Uは仁志監督、15Uは鹿取監督と、元プロ野球選手が務めた。もちろん二人ともアマチュア野球も経験しているものの、1戦必勝の短期間の大会で、しかも12Uや15Uの世代では大人とは違う独特の戦い方もある。

 また小学生、中学生を率いるのは、伝える技術も必要だし常にその世代の選手と触れ合っている監督のほうがよいのではないだろうか?

 

4、野手の指導

 短期間ではやはり守備力と投手力がダイレクトにものをいうものの、21U、15Uでは大敗して敗れた。国際大会では打撃力も勢いがつくと一気に勝ちを持っていかれる事もある。

 アジアでも台湾、韓国の選手の若い選手のスイングは粗さもあるが鋭い。一方、日本の打線は当てる技術は高いものの、押されて外野フライや内野ゴロを繰り返す。長打力で一点突破という事がなかなか望めない。

 また国際大会では様々なレベルの相手を対戦するため、20点や30点を取ってパーフェクトで抑える相手とも戦う。そこで打線は猛打をみせ、打撃は勢いに乗ったようにも見えるが、2次リーグや決勝トーナメントではぴたりと抑えられる。

 もちろん1次リーグなどの相手とは全く違うレベルであることは認識しつつも、やはり油断というか、急に高いレベルの投球をされるとそれに対応できないというところが見られる。

 

まずは来年

 まずは来年、18Uのワールドカップが日本で行われる。そしてIBAFプレミア12も当初は日本と台湾の共同開催の予定だった。主催の世界野球ソフトボール連盟(WBCS)と日本と条件が折り合わずに台湾の単独開催と発表されたが、まだ日本でも開催する可能性があるという。

 もちろん侍ジャパンによって、プロアマの協同が進み交流戦や強化試合で交流が進むなど、日本野球が大きく進化をしたといえる。しかし、ホームで18Uが優勝できるか、プレミア12でトップチームが優勝できるか、日本野球、侍ジャパンの真価が問われる。

(記事:Professional-view Baseball 編集部)

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