*

ドラフト会議で選手を指名した担当スカウトの気持ち

公開日: : スカウト活動

 ドラフト会議で追い続けていた選手を指名した時、担当スカウトは「責任を感じる」ということを、【ドラフト会議特集11】選手が獲得したときのスカウトの気持ちは? で言っている。それとは別にいくつかの想いがあるという。

選手への想いと不安

 獲得した選手の素質や能力について、自分が追い続けて評価し、そしてフロントや監督、全スカウトの総意でお墨付きを得ていることもあってか、心配はないという。

 ただしプロで活躍できるかどうかについては大きな不安がある。それはこれまで獲得してきた選手が、プロ野球で活躍することができずに数年間で野球を辞めていく姿を見ているからだ。

 指名された選手も、ドラフト直後は夢のプロ野球選手になったことで、周囲からも毎日のように祝福を受け、マスコミの取材を受けたりと注目されるが、少し時間が経つと「ふと」今後について不安がよぎったりする。

 

心配なのは

 一つは競争に勝てるかどうかの不安。1年目からポジション争いをするわけだが、当然プロ野球にはこれまでレギュラーをしていた選手がおり、また一つのポジションに複数の「選ばれた」選手がいる。プロでやっていける素質や能力は、そこにいる全員が認められてプロ入りしているわけで、その中で勝ち残らなければならない。

 ケガもするかもしれない、現在のレギュラーが若く、長い間控えになることを想像してモチベーションが維持できないかもしれない。

 そしてもう一つ大きな心配がある。野球選手は基本的に小学生や中学生の頃から野球ばかりしてきた選手が多い。また特に高校生は地方出身の選手も少なくない。

 プロ野球では1年目から、新たな仲間とのコミュニケーション、一人暮らし、これまで見たことのない金額、都会での生活、周囲からの注目と誘惑をいったものを一度に経験することになる。精神的にも不安になったり浮かれたりしてしまう。都会に慣れなかったり、女性の問題だったりで野球どころでなくなった選手も少なくないと元スカウトの日野氏は話す。

 

スカウトの親心

 日野氏は選手に対し「故郷に帰るときには、せめて体を壊して帰ってくれ」と思うという。体を壊したのならば、「そのくらい精一杯やった」と堂々と故郷に戻れる。もちろん後悔は残るだろうが。

 しかし、それ以外の理由で野球を辞めると、その後悔は大きい。

 プロ野球の12球団の保有枠は基本的に70人(育成枠も含めるともっと多い)、その中で1軍登録枠は28人で試合に出られるのは25人、そして野球のポジションは9つ、先発投手のローテーションは5つ程度。

 この中に飛び込んでいく選手に大きなエールを送りたい。

(記事:Professional-view Baseball 編集部)

関連記事

kousyou

プロ野球スカウトの面白さ ~昔のスカウトの仕事~

 北海道日本ハムの山田GMが退任されるようだ。思えば最近のドラフト会議で、唯一会場を湧かせてくれる球

記事を読む

20150825-1

田中正義になれるか、成長を期待したい4投手を元プロスカウトが評価

今年のドラフト会議の超目玉として、早くも一挙手一投足に注目が集まっている創価大・田中正義投手。12球

記事を読む

a1180_000929

元プロ野球スカウトが語る、スカウトの資質とは?

 西武ライオンズでスカウトをしていた日野茂氏に、スカウトの資質について聞いた。スカウトには何が必要な

記事を読む

draft_box

【ドラフト会議特集1】ドラフト会議までに何を決めておくのか?スカウト会議で行う事

 いよいよドラフト会議まであと1か月となりました。今年は「確実にドラフト1位で行ける」と言える選手が

記事を読む

mound

守備の良くない投手はどのように評価されるのか

 投手の評価、もちろん打者に対する投球のすばらしさが最も評価される点だが、ドラフト会議で指名された投

記事を読む

kousyou

【ドラフト会議特集11】選手を獲得したときのスカウトの気持ちは?

 いよいよドラフト会議まであと2日となった。選手にとっても運命の日だが、スカウトにとっても1年間、ま

記事を読む

batter

プロのスカウトがバッティングを見る時のポイント

 選手のバッティングを評価することは非常に難しいです。プロのスカウトは打者のバッティングのどこを見て

記事を読む

kyujyou

【ドラフト会議特集5】スカウトの1年

 10月23日のドラフト会議まであと2週間と少し、各地で大学のリーグ戦が終盤戦の盛り上がりを見せてい

記事を読む

日野さん

早稲田実・清宮幸太郎選手を、元プロ野球スカウトがチェック

 松井以来の怪物、和製ベーブルースと報道される早稲田実業高校の清宮幸太郎選手、まだ1年生の4月ではあ

記事を読む

日野さん

早稲田大・吉永健太朗投手を、元スカウトが評価する

 早稲田大の吉永健太朗投手、日大三高校で、畔上翔選手、横尾俊建選手、高山俊選手などと共に夏の甲子園を

記事を読む



  • 解説者:日野茂氏(元横浜ベイスターズヘッドコーチ)


    解説者:石毛宏典氏(元西武ライオンズチームリーダー、オリックスブルーウェーブ監督、四国アイランドリーグ創立者)

    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」
    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」


    取材協力:元プロ野球選手が教える野球塾
    「ZEROベースボールアカデミー」
石毛宏典
レギュラー争いと選手の成長

プロ野球では、同じポジションに複数の選手がいる。チームの各ポジションで

石毛宏典
今年の西武ライオンズは行ける?石毛宏典氏に聞く

4月18日時点で7勝6敗、3位の位置にいる埼玉西武ライオンズ、辻監督に

バッターボックス
頑張れ女子野球選手!

野球は、見るのも面白いし、プレーするのも面白い!そして男子だって楽しけ

sougankyou
今年はドラフト不作の年?

 大学野球リーグもスタートし、今年のアマチュア野球シーズンが本格的に開

gorin
次は東京オリンピックで!侍ジャパン

 侍ジャパンの4年間の戦いが終わった。結果を振り返ると重い4年間だった

→もっと見る

PAGE TOP ↑