*

【ドラフト会議特集5】スカウトの1年

公開日: : スカウト活動

 10月23日のドラフト会議まであと2週間と少し、各地で大学のリーグ戦が終盤戦の盛り上がりを見せているが、スカウト活動は最終段階に入っている。毎年行われる1年間の流れをおさらいしてみる。

ワクワクの11月

 前年のドラフト会議を終え、指名した選手と契約が済んだ段階で、アマチュアスカウトの仕事はひと段落となる。しかし1月には来年の候補者リストを挙げなければならず、すでに来年の候補者の視察も進めている。

 特に翌年の大会のドラフト候補となる高校生、大学生が出場する明治神宮大会や、社会人の日本選手権は重要な大会だ。しかしスカウトには一仕事終えての余裕があるように見える。

 来年の候補者を挙げるのは、なぜだかワクワクするという。それはなぜか、この文章の最後のほうでそれがわかる。

 

リストアップから春の戦いへ

 正月に高校、大学、社会人のチームに挨拶に行くのが習慣になっている。そして仕事始めが行われ、1月中に本年のドラフト候補のリストを挙げていく。

 それが終わると2月までは各チームの練習などを見て、3月に始まる練習試合や社会人の大会、選抜高校野球を視察する。特にセンバツ高校野球は、寒い中で行われる大会で、この大会で活躍する特に投手は、故障をしたり燃え尽きたりしてその後調子を落としてしまう事もある。

 春季大会や夏の大会で登板できないこともあり、この大会が良い状態での最後のピッチングになることだってある。高校野球の課題の一つだが、プロのスカウトにとっては貴重な機会として注目する。

 そして、大学の春季リーグ戦が始まる。秋季リーグ戦はドラフト直前となるため、このリーグ戦がドラフトの指名に大きく影響する。3年生の時から急成長を見せる選手、または最後にプレッシャーによって成績を残せない選手など様々だ。

 

夏のシーズンへ

 高校生は4月5月ごろにあちこちで新しい選手が登場する。2年生の冬から一気に成長した選手はこの時期に花を開かせる。しかし、高校野球はトーナメントで行われるため、チームに実力のないチームはすぐに敗退してしまう。視察を練習試合で補うものの、やはり公式戦の姿を見たい。

 スカウトは最も神経を使って、有力な高校生を見逃さないようにする。

 そして夏、社会人の都市対抗野球もあるが、やはり高校野球の夏の甲子園大会は盛り上がる。日本の夏を象徴するもので、スカウトもこの盛り上がりに熱くなり、高校生の評価が自然に高くなっていってしまう。

 

現実の秋

 そして秋、高校野球の盛り上がりから時期が過ぎると、やや涼しくなり、それと同時にプロ野球のチーム状況や結果も見えてくる。

 そしてそれとタイミングを合わせて大学野球のリーグ戦が行われる。将来の4番やエースをと評価した高校生よりも、やはり現実的には大学、社会人のエース、と考え始める。また高校生も自らの進路を選択し、狙っていた選手が大学や社会人に進むことがわかってくる。

 そして球団からも補強ポイントが伝えられ、これまでプレーしてきた選手が戦力外の通告を受ける。現実的な目線で最終的に指名順位が決まっていく。

 

そしてドラフト会議へ

 そしてドラフト会議に向かう。プロ志望で球団が狙う選手の関係者と交渉し、他球団の情報を聞き出し、ドラフト会議で少しでも良い選手を獲るために活動する。

 ドラフト会議ではどんな選手を指名しても、やはり期待が高まる。

 そしてまた来年に向けてリストアップの作業をする。今年の反省を踏まえ、そしてまた将来のエースや4番の獲得を夢見て、ワクワクしながらリストアップをする。

 

何よりうれしいのは選手がプロで活躍すること。

(記事:Professional-view Baseball 編集部)

関連記事

ドラフトの注目遊撃手、中京学院大・吉川尚輝選手を元スカウトが分析する

今年のドラフト会議で、注目されている大学生がいる。中京学院大の吉川尚輝選手は、プロのスカウトがドラフ

記事を読む

【野手編】2015年のドラフト候補は?元西武スカウト・日野茂氏の評価

 あと1週間に迫ったドラフト会議、元西武ライオンズスカウトの日野茂氏がチェックした、今年のドラフト候

記事を読む

スカウトの神様は野球マニアだった、時代で変わるスカウトの評価

 プロ野球のスカウトがすごいと思うのはスカウトは誰なのだろう?元西武ライオンズでスカウトをしていた日

記事を読む

プロ野球のスカウティングは「営業」か「投資」か

 ローソンの社長を務めた新浪氏が10月からサントリーホールディングスの社長に就任する。近年は新卒学生

記事を読む

ネットスカウトの情報量の凄さ

 先日、「ネットスカウト」と呼ばれる人と会う機会があった。情報量の濃さは想像を超えるほどはるかに深い

記事を読む

野手のドラフト候補がスカウトに注目されるには

 センバツに出場する野手の候補を紹介してきたが、元西武のスカウト・日野茂氏に、「野手はどんな風にすれ

記事を読む

2015年ドラフトを元西武スカウト・日野茂氏に聞く

2015年のドラフト会議から1ヶ月が経ち、球団では入団発表が行われている。今年のドラフト会議の指名の

記事を読む

大阪商業大・岡田明丈投手を、元プロスカウトが評価する

 大阪商業大の岡田明丈投手がこの春に150キロを記録し、連日のようにプロ野球のスカウトが姿を見せてい

記事を読む

スカウトの夏!緊張の夏

 高校野球の各地の大会が本格的に始まっています。高校野球の夏の大会、スカウトにとっては、大きな賭けを

記事を読む

【ドラフト会議特集4】スカウトの仕事、交渉事

 プロ野球のスカウトは、チームのために必要な戦力をそろえる事。選手を見て評価をすることが最も主な活動

記事を読む



  • 解説者:日野茂氏(元横浜ベイスターズヘッドコーチ)


    解説者:石毛宏典氏(元西武ライオンズチームリーダー、オリックスブルーウェーブ監督、四国アイランドリーグ創立者)

    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」
    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」


    取材協力:元プロ野球選手が教える野球塾
    「ZEROベースボールアカデミー」
浅村選手、炭谷捕手などFA移籍でどうなるライオンズ、石毛宏典氏が語る

今年、パリーグを10年ぶりに制覇した埼玉西武、浅村選手、山川選手、秋山

日野氏は金足農・吉田投手、石毛氏は浦和学院・渡邉投手を評価

プロ野球ドラフト会議が近づいてきた。今年も多くの選手が注目される中で、

石毛宏典が西武の戦いに「普段通りやるしかない」

10年ぶりにパリーグ優勝を飾った西武ライオンズ、かつての黄金時代のキャ

石毛宏典氏と日野茂氏が根尾選手と小園選手を評価

夏の甲子園が終わり、U18アジア大会を戦う選手たち。その中で、西武ライ

盗塁:バッテリーとランナーの3.3秒の攻防

盗塁は、日本の野球に置いて、チャンスを広げ、得点を挙げるために重視され

→もっと見る

PAGE TOP ↑