*

怪物達が輝く甲子園であり続けて!

公開日: : 高校野球

 昨夏の覇者・前橋育英の高橋光成投手が、昨春の優勝チーム・浦和学院の小島和哉投手が、準優勝・済美高校の安楽智大投手が、そして今春ベスト4の佐野日大・田島大樹投手が予選で散った。

 夏の前の時点で知名度もあり実力も高く評価されていた。甲子園に出場すれば注目を集める事になった「怪物」候補だった。

怪物たちの戦い

 上に挙げた4人の投手は、いずれも全国大会ですでに活躍を見せており、すでに「怪物」と言える存在だった。しかし、その全国大会で輝きを見せた後、何らかの影響があったように思う。

 済美高校の安楽智大投手は2年生春の選抜大会で772球を投げた後、夏も157キロを記録して甲子園に出場し、18Uワールドカップでも日本代表として準優勝に貢献する活躍を見せたが、秋の初戦で肩を痛めて1年間は復帰に時間をかける事になった。

 前橋育英の高橋光成投手も昨夏の優勝のあと、18Uワールドカップでは疲労からほとんど登板せず、秋の初戦で敗退した。その後は右手を骨折した影響もあり握力が低下し、こちらも復活に向けて時間をかける事になった。

 浦和学院の小島和哉投手も2年春のセンバツ優勝のあと、夏も埼玉県大会で完全試合を達成するなどしたが、夏の甲子園で制球が定まらずに初戦で敗退すると、その後は2年春のようなピッチングは見られなかった

 そして最後に残った田島大樹投手、春にベスト4まで勝ち進んだ後は先発を回避し短いイニングを投げていたが、夏の決勝を前に準決勝で先発すると肩の違和感を感じ、決勝では途中で降板した。

 怪物は最後の夏に甲子園に戻ってくることはできなかった。

 

投手の故障に注目された年

 最近でも連覇をしている怪物がいる。2012年には大阪桐蔭の藤浪晋太郎投手が、2010年には興南の島袋洋奨投手が春夏連覇を果たしている。島袋投手はその後、大学野球で故障などがあり調子を崩してしまったが、藤浪晋太郎投手はプロ入りし1年目に10勝を挙げ、今年もまずまずの成績を残している。

 これを見ると全国大会で活躍した事による疲労と投手を壊すとは言うこと、はっきりと関連付けることはできない。しかし、メジャーリーグのヤンキースの田中将大投手が故障をしたこともあり、安楽投手の故障など投手の故障が注目された年となったのは間違いない。

 何が原因なのか、どうすればよいのかの議論が盛んにされるようになった。メジャーリーグと日本のプロ野球が選手の故障についての情報交換を行うという報道があり、高校野球連盟がタイブレークの導入も検討するなど、状況は動きつつある。

 

甲子園という場所

 そんな中でも、今年の夏も怪物が甲子園出場を決めている。盛岡大付の松本裕樹投手は150km/hを投げ、通算50本以上のホームランも放ち、二刀流・大谷翔平投手の名前を用いられて例えられる怪物だ。

 日本文理の飯塚悟史選手は春に続いて甲子園に戻ってきた。187cmから140キロ以上のストレートを投げ、明治神宮大会の決勝で2本塁打を放つなど抜群の長打力も光る。

 センバツで優勝した龍谷大平安も戻ってきた。2年生の高橋奎二投手がいるが、継投で勝ち上がり全員野球で勝ち上がる総合力の高いチームで怪物という存在はいない。

 ほかにもこれから出てくるチームにも怪物候補がたくさんいる。甲子園で期待したいのは優勝とともに、暑さや故障には敏感になって、体の状態を正直に話してほしいということだ。

 

 甲子園が故障などで怪物の野球生命を奪う場所になってはいけない。あくまで怪物たちの輝く場所であってほしい。

(記事:Professional-view Baseball 編集部)

関連記事

新芽

この季節の高校野球、チームの形ができる時

 4月、5月のこの季節は、大学では春季リーグ戦が開催され、また高校野球も選抜高校野球大会の熱気も冷め

記事を読む

Koushien

高校野球の魅力と変わること

 先月、高校野球は変われるか?という記事で、高校生投手の球数の多さを指摘し、高校生の将来も考えて投球

記事を読む

kyujyou3

高校野球と地域の知名度アップ

高校野球によって知名度の高い地域がある。例えば池田高校の徳島県池田町(現在は三好市)や、新湊旋風の富

記事を読む

Koushien

天理高校・坂口漠弥選手を元プロスカウトが評価する

 選抜高校野球大会が終わり、高校生たちは夏に向けて動き始めている。そのセンバツで長打力が注目されたの

記事を読む

Koushien

高校球児が増加し初の17万人越え、その背景は?

 高校野球連盟は2014年5月末現在の部員数を発表し、昨年より3224人多い170,312人となった

記事を読む

日野茂

高校野球は練習方法を変えれば、まだまだ上手くなる(2)

ある高校の練習の指導に訪れた日野茂氏は、その練習方法とある出来事を経験して「高校野球は練習方法を工夫

記事を読む

yakyu

高校野球、エラーで負けてしまった選手たちへのメッセージ

 夏の高校野球大会、甲子園では49校による48試合が行われ、そのうちサヨナラで試合が終わったのは5試

記事を読む

Koushien

高校野球の都道府県別出場校数と部員数

 第96回高校野球大会は、甲子園で熱戦が繰り広げられている。今日は八頭高校が大阪桐蔭と対戦したが敗れ

記事を読む

Koushien

敦賀気比が初優勝、思いを継いで福井県勢が甲子園初制覇

 選抜高校野球大会は敦賀気比の優勝で幕を閉じた。敦賀気比は、昨年(2014年)の夏にベスト4、201

記事を読む

STEPUP

代表に集った選手たちは、何を得たのか?

 8月の甲子園終了から約2週間、侍ジャパンU18代表が集まった。約17万人の高校野球部員の中から選ば

記事を読む



  • 解説者:日野茂氏(元横浜ベイスターズヘッドコーチ)


    解説者:石毛宏典氏(元西武ライオンズチームリーダー、オリックスブルーウェーブ監督、四国アイランドリーグ創立者)

    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」
    石毛宏典オフィシャルブログ「石毛漢動」


    取材協力:元プロ野球選手が教える野球塾
    「ZEROベースボールアカデミー」
ishige2
盗塁:バッテリーとランナーの3.3秒の攻防

盗塁は、日本の野球に置いて、チャンスを広げ、得点を挙げるために重視され

石毛宏典
大谷翔平選手はメジャーで二刀流で活躍できるか、石毛宏典氏に聞く

いよいよ大谷翔平選手が、メジャーに移籍した。アナハイムエンゼルスで今季

draft_box
この12人はなぜドラフト1位指名されたのか

以前の記事「ドラフト1位候補の12人を石毛宏典氏、日野茂氏とチェック」

石毛宏典
選手は最終的には態度で評価される

プロ野球に限らず、高校野球、大学野球などの選手は、素晴らしいバッティン

石毛宏典
エラーをしてしまったら、エラーをした選手がいたら

野球をしていて、エラーはミスはつきものです。どんな選手でも1回はエラー

→もっと見る

PAGE TOP ↑