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中央大・島袋洋奨投手の現在、甲子園優勝投手の進路に関して

公開日: : 大学野球

甲子園の春夏連覇、新しい所では2012年に大阪桐蔭が藤浪晋太郎、森友哉といったメンバーで、1998年に横浜高校が松坂大輔、小山良男、小池正晃、後藤武敏といったメンバーで、1987年にはPL学園が、立浪和義、野村弘、橋本清、片岡篤史、宮本慎也といったメンバーでなと遂げている。そして2010年には沖縄の興南高校が記録をしている。

初夏連覇をした高校生のエースはプロに進んだが、その時のエースだった島袋洋奨投手はプロ入りをせず、中央大学に進学するという選択をした。あれから4年が経とうとしている。今の島袋洋奨投手はどんな状態なのかを見てみる。

中央大学の栄光と影

中央大学に入った島袋投手は、さすがに春夏連覇を成し遂げた左腕で、大学でもすぐに活躍をした。1年生の春には1勝3敗ながら防御率は0.99でリーグ2位となり、36回1/3を投げて40奪三振と、イニング以上の三振を奪う甲子園さながらの投球をみせていた。

しかし秋も38回を投げて34奪三振を記録したものの防御率は3.08下がり、勝ち星も2勝4敗と好投するものの詰めの甘さで失点し、勝ち星を得られない内容が続いた。ただしこの年は、東洋大の藤岡貴裕投手や亜細亜大の東浜巨投手など、リーグを代表する投手がいた事もあった。それでも島袋は同じ沖縄の先輩である東浜巨に投げ勝つなど力を見せている。

 

光と影は一つになって訪れた。1年目で経験したことから島袋投手はそのオフに体力を強化し、速球、変化球とも高校時代よりも威力を増していた。昨年からの上澄みが期待されながら臨んだ2012年春のリーグ戦、1戦目を託された島袋投手に試練が襲い掛かる。

開幕の東洋大戦、先発した島袋投手は9回まで2失点に抑えるも対する東洋大も粘り2-2のまま延長戦に入る。東洋大は投手を交代をしたが中央大は好調だった島袋投手を続投させる。結局延長15回を投げて21三振を奪う力投で2点に抑えると、その裏に中央大がサヨナラ勝ちを収めた。226球を投げていた。

そして中1日おいた3回戦でも島袋投手は先発し、7回4安打11奪三振で1失点に抑え早くも2勝目を手にする。しかしこの2勝が大きな代償となった。翌週のカードで先発し3勝目を手にしたが、8回で4失点と本来の調子ではなく、ヒジの違和感を訴えた島袋投手は、そのシーズンはその後の試合に登板することはなかった。

 

復活の道のりも

秋にはリリーフで投げながら終盤に先発するなど1勝1敗、防御率1.01、球速も150km/hに到達するなど復活かと思わせ、3年生となった2013年春も防御率1.94でリーグ5位とまずまずの成績を残しながらも2勝3敗と勝ち星につながらず、その秋には防御率3.44、2勝6敗という屈辱的な成績を負う事になる。

左腕で150キロの速球を投げ、鋭い変化球を持つ島袋投手にプロのスカウトはその素質を評価した。しかし、球は速いものの失点をして敗れる姿を見て、評価は割れていた。

そうして2014年春を迎える。

 

最後の春

島袋投手にとって学生野球最後の春が訪れた。リーグ戦が華々しく開幕したが、開幕戦は5連覇の王者亜細亜大と中央大のカードが組まれ、ドラフト注目投手の亜細亜大・山崎康晃投手と島袋投手の投げ合いになることが話題となっていた。

しかしその試合に島袋投手はマウンドに登らなかった。ブルペンで投球をしており怪我ではないことはわかった。試合後に秋田監督から島袋投手が調子を大きく崩し、マウンドで投げられるか不安な状態であることを明かした。

翌日、島袋投手は先発をしたが1回1/3を投げて球速は150キロ近くを記録していたものの、投球がバックネットにダイレクトあたるなどコントロールができておらず、6つの四死球2つの押し出しを与えて降板した。

それから2週間を開けて拓殖大との試合にリリーフで登板すると、2回を2四死球3奪三振と落ち着きを取り戻しつつある姿を見せたが、翌日は1回1/3で自責点2と調子は一進一退を繰り返している。

 

元プロのスカウト・日野茂氏の評価

元プロのスカウト・日野茂氏は中央大学のOBでもある。島袋投手には入学時から気をかけていたが、今の島袋投手について、

「プロを意識していたのは間違いないが、何で評価してもらうのかが分からなくなっている状態」と、大きな迷いを感じていることを指摘した。球速は150キロ近くをなげており、「速球を求めている」と話す。として「松井裕樹投手を手本にしているような印象」とコントロールはアバウトながらストレートの勢いで、甲子園で22奪三振を奪った松井裕樹投手の名前を挙げた。

そしてストレートについては「コントロールができるようになっても、今のストレートなら打たれる」と厳しく評価した。力に頼った今のフォームではプロは難しいという評価だ。プロへの思いが強かった事が、自らの成長のイメージに迷いを生じさせてしまった。

 

甲子園優勝投手の進路

 2006年に早稲田実業で夏の甲子園で優勝した斎藤佑樹投手、2008年の春に優勝をした沖縄尚学の東浜巨投手は、大学を経由してプロ入りしたものの、プロの壁に当たり苦しんでいる。また、2011年に日大三で夏の甲子園で優勝した吉永健太朗投手も、早稲田大学で1年生春にいきなりMVPのの活躍を見せたが、現在は3年生となったが結果が残せずに苦しんでいる。大学進学はさらなる成長が期待できる反面、怪我や疲労、誘惑やさまざまな迷いというリスクも待っている。

一概には言えないものの近年に関していうと、甲子園でエースとして優勝するような実力を持つ投手(プロからの評価が高いことを前提として)は、すぐにプロに入った方が良いのかもしれない。高校時代の実績と素質で大学時にもプロがほぼ約束されているような投手なら、怪我も迷いもプロ野球に入ってから経験すればよい。そのように深く考えてしまう。

 

(記事:Professional-view Baseball 編集部)

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